「もっともっと欲しい」の貪欲の経済から、「足るを知る」知足の経済へ。さらにいのちを尊重する「持続の経済」へ。日本は幸せをとりもどすことができるでしょうか、考え、提言し、みなさんと語り合いたいと思います。(京都・龍安寺の石庭)
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財界総本山でコスタリカが話題に
 長期的視野で発展するモデル国

 安原和雄
 (財)経済広報センター(経団連による設立)主催の企業倫理シンポジウムが2006年5月15日、財界総本山・日本経団連(会長・奥田碩トヨタ自動車会長)の経団連会館(東京・千代田区大手町)で200人を超える経済人を集めて開かれた。
 日本経営倫理学会会員でもある私(安原)も参加したが、席上、中米の小国コスタリカが一つの模範的な国として話題になった。私は「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」世話人の一人として、多数の経済人が集まる場でコスタリカが話題になり、しかも高い評価を得るのは珍しいと思うので、その内容を紹介したい。(06年5月18日掲載、インターネット新聞「日刊ベリタ」に同月20日転載)

 企業倫理シンポジウムにスピーカーとして出席したのは、企業倫理の分野では米国でも定評のあるブリガム・ヤング大学マリオット・スクール・オブ・マネジメント学部長、ネッド・C・ヒル博士(テーマは「何故、高い企業倫理が必要なのか」)と副学部長、W・スティーブ・アルブレヒト博士(テーマは「株主、企業価値の毀損をいかにして防ぐか」)である。

 このシンポジウムでは企業倫理上、企業経営の短期的視点と長期的視点のどちらが望ましいかが中心テーマでもあった。その内容は次のようである。
*目先の利益や株価を重視する短期的視点に立つ企業経営は、業績や利益しか視野におかないため、労働者を人間として考えず、簡単に解雇するなど、搾取の対象とする。従って「企業市民」としての社会的責任を軽視し、地域住民や市当局からも相手にされなくなる。利益も株価も低下していき、やがて企業そのものが破綻に追い込まれる。
*一方、目先の利益や株価よりも雇用重視、地域・環境貢献など長期的視点から社会的責任を積極的に果たしていく企業は「企業市民」として評価される。結局、利益、株価も上がり、長期的には発展する。

 2人のスピーカーはともども以上のように発言したが、その文脈の中で学部長のヒル博士は「長期的視点に立つ国」としてコスタリカを挙げ、次のような趣旨を指摘した。
 「コスタリカは美しい国である。なぜか。国土の多くを国立公園など(注1)にして、自然環境保護に取り組んでいるからである。いまではエコツーリズム(注2)の国としても有名で、世界から多数の人々が集まってくる。そのお陰で経済がしっかりしてきている。周辺の他の国と比べれば、その良さがよく分かる。目先の利害にとらわれないで、環境保護などの長期的視点に立つ経済の運営がいかに大事であるかをこの国は示している」と。

(注1・安原)コスタリカは、国土面積全体の約25%の地域を国立公園、生物保護区、森林保護区などに指定し、そこには原生生態系の95%が含まれており、自然環境保全の先進国としての地位を確立している。もともと自然が美しく、国土は日本の約7分の1という小国であるにもかかわらず、日本に比べ生物種の豊かさを誇っている。例えば哺(ほ)乳類は266種(日本は136種)、鳥類は約850種(日本は約500種)など。
(注2・同)豊かな自然の保全を背景にコスタリカはエコツーリズム(生物多様性を資源として活用する新しい観光)の発祥の地であり、その先進国としても世界的に注目されている。エコツーリズムによる外貨獲得高は、1993年にそれまでトップだったバナナ輸出を上回り、最大となっている。

 コスタリカは小国ながら、次の3本柱の国是を持っており、独自の路線を堅持している。
①軍隊廃止と非武装中立
②平和・人権教育
③自然環境保全
(安原和雄「軍隊を捨てた小国の智慧―コスタリカ・モデルを訪ねて」駒澤大学仏教経済研究所編『仏教経済研究』第33号所収、2004年5月刊・参照)

 企業倫理シンポジウムの席上では、コスタリカの3本柱のうち、自然環境保全の柱が「国の倫理」の望ましいあり方として評価の対象となったわけで、これは「国の品格」としても高い採点が与えられることを意味している。


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コメント
この記事へのコメント
『財界総本山でコスタリカが話題に』は、「コスタリカの国是3本柱のうち、自然環境保全の柱が・・・国の品格として高い採点が与えられることを意味している」ということ、同感です。前回に引き続き“連続物”を拝見したような気がします。
それにしても財界総本山のシンポジュウムで、コスタリカが「軍隊を捨てた国」としてではなく、「経済がしっかりしてきている」ということで話題になったことに驚くととともに、その視点からコスタリカを勉強してみたいと感じました。
M&Aを含め、不祥事や犯罪を重ねる企業が多い中、シンポジュウムは、企業倫理上、企業経営の短期的視点と長期的視点のどちらが望ましいか、に絞られたようですが、スピーカーのお二人の発言の幾つかのキーワードは、まさに仏教経済塾で説いた、「いのちの尊重と仏教経済学」「企業はカネの奴隷か」「ライブドア事件」等々に一脈相通ずるところが多く、安原先生、「我が意を得たり」ではないでしょうか。
塾の益々の発展を祈ります。
2006/05/20(土) 10:54:54 | URL | h.y. #-[ 編集]
美しい国・コスタリカ
h.y.さん、早速のコメント拝読しました。
私自身、驚きました。経済人が多数集まる席でコスタリカの話が飛び出してくるとは予想もしていなかったので、「これは、これは」と嬉しくなりました。
しかも話を持ち出したのは、アメリカの大学研究者です。

コスタリカは、その国是3本柱の1つにあるように「軍隊廃止と非武装中立」を誇っている国です。過去にアメリカから陰に陽に干渉がありましたが、それを押しのけて非武装中立路線を守ってきた国です。
大事な点は、この3本柱は実は三位一体、相互依存関係にあることです。
軍隊の廃止で浮いた財政資金を自然環境保全、教育(社会保障も含めて)などに回しています。ここを見逃してはならないと思います。

足りない財政資金をいかに工夫し、活用するかです。その見本ともいえます。軍隊を廃止したからこそ、自然環境保全にも熱心に取り組むことができるということではないでしょうか。
いのちを奪う軍隊の廃止は、当然に自然のいのちも含めていのちの尊重につながります。軍隊廃止と自然環境保全とは表裏一体の関係にあるといえます。

そういう国柄を理解する点で我々日本人もアメリカ人の研究者に遅れをとらないようにしたいものです。
日本経団連が音頭をとって、「コスタリカ・エコロジーツアー」、あるいは「コスタリカ企業倫理ツアー」でも呼びかけてみたらどうでしょうか。傘下の会員企業に何かと不祥事が頻発している日本経団連の評価も案外高まるかもしれませんね。
2006/05/21(日) 11:53:37 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
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