「もっともっと欲しい」の貪欲の経済から、「足るを知る」知足の経済へ。さらにいのちを尊重する「持続の経済」へ。日本は幸せをとりもどすことができるでしょうか、考え、提言し、みなさんと語り合いたいと思います。(京都・龍安寺の石庭)
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--) --:--:--| スポンサー広告| トラックバック(-) コメント(-)
脱原発後の再生をどう展望するか
大震災、原発惨事から一年を経て

安原 和雄
 東日本大震災、原発惨事から一年が過ぎて、被災地の再生をどう図っていくかが改めて論議の的になっている。単なる復興ではなく、やはり再生への新しい道をどう展望するかが問われている。
 原発廃止はもちろんとして、脱原発後の「身の丈にあう幸せとは何か」を問い続けなければならない。反「新自由主義」の変革モデルをどう築いていくかも重要な課題である。東北全域を再生させる挑戦は、実は二十一世紀版自由民権運動だという認識も芽生えつつある。東北被災地再生の行方が日本列島全体の将来を左右することにもなるだろう。(2012年3月24日掲載。インターネット新聞「日刊ベリタ」、公共空間「ちきゅう座」に転載)

 毎日新聞に連載(3月3日付から17日付まで10回)された「再生への提言」を読んで、その感想を述べたい。

▽登場人物10人とその多面的な提言

 提言の見出しと登場人物10人の氏名、現職、略歴はつぎの通り。提言の見出しからも分かるように多面的な提言となっている。

・現場の泥臭さ生かせ=岡本行夫氏(外交評論家=外務省課長、首相補佐官など歴任)
・社会全体の底上げを=河田恵昭氏(中央防災会議・専門調査会座長=関西大教授、専門は巨大災害)
・指導者は強い姿勢を=石原慎太郎氏(東京都知事=作家、一橋大在学中に芥川賞)
・特区で持続的雇用を=武藤敏郎氏(大和総研理事長・元財務事務次官=日銀副総裁も歴任)
・身の丈にあう幸せを=津島佑子氏(作家=「黄金の夢の歌」で毎日芸術賞)
・全国から人材集めて=小林健氏(三菱商事社長=71年入社、10年6月から現職)
・自発的変革の気概を=ピエール・スイリ氏(ジュネーブ大教授・日本学科長=元日仏会館フランス学長・99~03年)
・東北をもっと知って=渡辺えり氏(劇作家・演出家・女優=1978年「劇団3〇〇」結成)
・生命優先 近代越えよ=オギュスタン・ベルク氏(仏国立社会科学高等研究院教授=元日仏会館フランス学長・84~88年)
・福島の「草の根」に希望=赤坂憲雄氏(「東北学」を提唱する福島県立博物館長=復興構想会議委員を務めた)

 以下では10人の提言から選んで3人の提言(大意)を紹介し、感想を述べたい。

▽「身の丈にあう幸せ」とは何か

津島佑子氏の提言=身の丈にあう幸せを
戦後、多くの日本人はアメリカ文化に新しい自立、自由を感じ、金持ちになることがその手段だと思うようになった。戦前からの権力者たちは自らの戦争責任をあいまいにしたまま、技術立国だの経済成長だのと叫び始めた。私たちもみるみる豊かになる社会や生活にぼんやり満足してきた。その間、原発は「増幅」を続け、揚げ句の果てに福島第一原発事故が起きた。
 これまで反原発の声が力を持つことはなかったが、事故のあと、原発廃止を求める人たちが国境を超え、手をつなぎ始めている。一方で国を担う人たちは経済発展を理由に原発を輸出したがっている。

 原子力産業とは戦後、都市の電力供給のために地方が放射能のリスクを負うという、形を変えた植民地主義の産物だった、と今度の原発事故で知った。そんな原発はもう見捨てなければならない。今も原発を動かしたい人たちは、巨大な古代神にいけにえをささげ続ける神官たちのように見える。そのいけにえは、子共たちの未来なのだ。
 戦争に負けても変わらなかったこの国の価値観と人間の身の丈にあった幸せとは何なのかを可能な限り問い直す責任が、今日本に住む私たちに課せられていると思う。

<安原の感想> 植民地主義の原発は見捨て、幸せを
 「原子力産業とは戦後、都市の電力供給のために地方が放射能のリスクを負うという、形を変えた植民地主義」という指摘には新鮮な響きを感じる。たしかに日本版植民地主義の典型ともいうべき原発は廃止するときである。
 同時に「身の丈にあう幸せとは何か」を問い続けなければならない。それは従来型の技術立国、経済成長主義、原発輸出 ― などという路線とは異質のテーマである。しかも「幸せ」は原発のように押し付けられるものではなく、自らの意志で創っていくものであるに違いない。

▽ 社会を変革させてきたダイナミズムを

ピエール・スイリ氏の提言=自発的変革の気概を
 昨年、私は本紙で「日本では天災が世直しの契機でもあった」と指摘した。あれから1年。私は失望している。大きな復興を契機に、長期停滞の20年を再構築する気概も生まれてくると期待したが、無反応なままであるのに驚いている。
 歴史家の目で見て、今の日本停滞の原因は、積極的に独自の未来モデルを創造してこなかったことにある。

 戦後復興の後に、独自の対策を生み出す機会も十分あったに違いない。その後、新自由主義経済をモデルに取り入れたが、現在それが失敗であったことが分かっているのに、曖昧なままだ。第二次大戦の戦後処理からいつまでも解放されない。対米関係も、沖縄問題が象徴するように従属的な立場しか見えてこない。
 日本には時代の課題に鋭く反応してきた伝統があり、江戸、幕末、明治、大正、戦後まで、自発的な変革のエネルギーが躍動していた。
 それが1980年代ごろから消滅し始めた。各階層の指導者たるべきエリートたちが、社会変革の責任を果たしてこなかったのが原因だ。国家と民衆への裏切りと言ってもおおげさではないだろう。社会を変革させてきたダイナミズムの歴史の片りんを、近い将来に見ることができるだろうか。

<安原の感想> 「新自由主義」後の変革モデルへ
手厳しい批判である。「今の日本停滞の原因は、独自の未来モデルを創造してこなかった」こと、それは「国家と民衆への裏切り」とも断じている。示唆に富んでいるが、「変革の未来モデル」がないという指摘は、「親切な誤解」と受け止めたい。
 反「新自由主義」の変革モデルをめざす独自の提案、構想、運動が日本で広がりつつある。脱原発はいうまでもない。内需主導型経済発展への転換構想、反「核」、反「日米安保体制」、反「沖縄米軍基地」、さらに地球規模で平和(=非暴力)構築をめざす地球救援隊構想(自衛隊の全面改組)などである。

▽ 現代の自由民権運動を求めて

赤坂憲雄氏の提言=福島の「草の根」に希望
 復興の動きはあきれるほど遅い。国や県には将来へのビジョンが乏しいからだ。被災地はそんな国や県を見切り始めている。もはや受け身では何も動かないと、人々は痛みとともに気づいてしまった。
 多くの人々が試行錯誤を繰り返しつつ、草の根レベルから声を上げている。そうした「下」からの動きこそ支援してほしい。

 福島はかつて自由民権運動の土地だった。その記憶は今も生きている。シンポジウムの場などで、誰からともなく「自由民権運動みたい」という声が聞こえてくる。現実が厳しいからこそ人々は現代の自由民権運動を求めている。
 他方、中央の東北への視線は相変わらずだ。原発事故当事者、東京電力の姿が福島ではほとんど見えない。十分に責任を果たしてきたとも思えない。それなのに東電批判の声はとても小さい。
 10万人の「原発難民」を生んだ福島に、原発との共存はありえない。福島県には、30年間で約3000億円の交付金が下りたと聞く。小さな村の除染費用にすら足りない。
 どんなに困難でも、自然エネルギーへの転換しかない。東北全域を自然エネルギーの特区にするような、大胆で将来を見すえた提案がほしい。

<安原の感想> 東北全域を自然エネルギーの特区に
 かつての自由民権運動(明治前期、藩閥政治に反対して国民の自由と権利を要求した政治運動)を連想させるところが見逃せない。福島の人々は痛みとともに多くのことに気づいた。草の根レベル、つまり「下」からの声こそ大切であること、一方、原発事故当事者である東電の存在が福島では見えないし、責任も果たしていないこと、などなど。
 これでは「原発との共存はありえない」は腹の底からの叫びであるに違いない。だから「東北全域を自然エネルギーの特区に」という大胆かつ正当な構想も浮上してきた。そこに東北全域の再生がかかっている。この再生への挑戦が21世紀版自由民権運動である。


(寸評、提案大歓迎! 下記の「コメント」をクリックして、自由に書き込んで下さい。実名入りでなくて結構です。 なお記事をプリントする場合、「印刷の範囲」を指定して下さい)
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
日本を変革出来る機会なのに、それが出来ないもどかしさを感じます。自らの力の無さを実感します。

話しは多少変わりますが、勤務先をファンドが買い、大株主となりました。社員の整理を始め、当然、社内は混乱し、人生を狂わされた社員は絶望しています。現場の声も聞かず、一方的に利益優先を考える姿に疑問を覚えます。尚、私がいた事務所もなくなります。
2012/03/27(火) 06:18:19 | URL | 赤坂亭風月 #-[ 編集]
変革へのしぶとさ
赤坂亭風月さん、毎度のコメントには感謝するほかありません。
さて「変革へのもどかしさ」という感覚は、正直言って私にもあるし、誰しも感じているところではないでしょうか。
ただここはゆったり構えるところではないかと思います。それが「変革へのしぶとさ」でもあります。変化は急展開する可能性もあります。「緩急自在」の構えとでもいいましょうか。暗闇を経て、夜明けと共に太陽が輝き始めます。企業レベルではご苦労も多いことと思いますが、夜明けが来るのを期待しましょう。
変革への可能性は日本だけではありません。世界情勢を達観すれば、大きな変化が進行しつつあります。米国の指導力の急速な低下、中南米諸国の米国離れなどが一つの具体例といえます。ご自愛を祈っています。
2012/03/28(水) 17:14:51 | URL | 仏教経済塾亭主 #-[ 編集]
原発に関係して
初めてのコメです

原発を国策として進めてきた日本にとって今回の事故は転換期となるべきものになるかもしれませんが

今 各地でデモをされている方がいますが

その方たちは原発をすべて廃炉にするのにどれだけの費用と年月と

そしてそれで電力供給が逼迫し

電力会社がLNGなどの資源を買い付けて発電し その結果電力料金があがれば

今度はそれに対して抗議する

にわかで騒いでるだけだと思うのですが

あなたはどう思われますか?

初回のコメントなのに

長文失礼します
2012/03/28(水) 19:55:57 | URL | onititi #-[ 編集]
日本も脱原発に向かうことは当然のことであり、
そのためにデモ活動も大いに結構なことでは無いでしょうか。
日本経済は、どうせ急成長なんか期待出来ないのだし、
国民全体としては、皆で出来る範囲で節電に協力し、無駄な
消費も抑制することで経済規模は幾らでも縮小し、国際社会
の中での存在感も幾らでも喪失し、ただひっそりとした国と
なったところで、大したことでは無いと思えば、国策として
原発再稼動を求める国や電力会社をはじめ原子力村と言われる
連中に対しては、それこそ騙されたふりをして、そっと静かに
背いて原発再稼動を拒否し、今回の原発事故は中曽根大震災に
よる天罰に変わり無い以上、自らの命と引き換えとなってでも
国内の原発は全て廃止し、事故収束をはじめ多くの被害者の救済
に幾らでも対処することは当然のことですよね。
その上で、一時的には火力発電が増えることになるのは致し方無い
ものの、再生可能な自然エネルギーを幾らでも推進し、発電と送電
の分離をはじめとする電力改革にも幾らでも取り組むと共に、電力
料金の値上げが必要なら、それこそ大企業に対してだけに幾らでも
値上げすれば良いだけのことでは無いでしょうか。
その上で、大企業に対する法人実効税率を80%にまで引き上げ、
富裕層に対しての税金や社会保険等の公的負担も幾らでも重くする
と共に、中堅企業や中小企業をはじめ、99%にあたる非富裕層に
対して減税する等して富の公正な再分配と最低賃金に満たない場合
に対するベーシックインカムの導入も推し進めることを通じて、
全ての国民が自分の利益が他人の利益に繋がることだけをすることで
それが地域を支え、ただ普通の暮らしが出来る幸せな社会に変えて
行きさえすれば、此れほど喜ばしいことはございませんよね。
これが拡大して行くことによって地域経済の活性化へ繋がることで
日本経済を共に支え合い、助け合い、分かち合うという絆を通して
安定したプラス成長と貿易黒字を齎すことになりさえすれば、資源
や食糧等の輸入を減らすことによって、減らした分は、それこそ他国
に廻してあげて下さいと言ってあげる様にすれば、それが日本の国益
となるばかりでなくアメリカや中国をはじめロシアや韓国、北朝鮮の
他、アジア太平洋地域全体に留まらず、世界中の全ての国々の国益を
齎すことによって、全人類が一つの絆となって、世界経済を共に支え合い
助け合い、分かち合うことによって、地球規模での環境破壊を食い止め
国際社会全体の平和と安定に寄与することになるのなら、もう何も言うこと
はございませんよね。
為替は幾らでも円高となり、株価なんか幾らでも下落しても構わないのだし
原子力村をはじめとするただ自分達の利益のことしか考えない連中と、
放射能に対して必要以上に恐れ、風評被害を齎したり、福島県産の農産物等
を勝手に拒否したり、変な差別したり、瓦礫の受け容れにただ反対すること
しか出来ない様な連中に対しては、それこそ「ふざけるな、お前らこそ日本から
とっとと出て行け!」と言う物凄い怒りをぶつけて、国際社会の中で幾らでも
袋叩きにされ、痛みつけられ、時には特攻隊でもやらされることにでもなったら
「どうぞ幾らでも勝手にやって勝手に死んで下さい」と言ってあげて悲惨な目に
遭うことになっても自明のことだと割り切って、そっと静かに見捨て、腹の底で
あざ笑ってあげるようにすれば良いだけのことでは無いでしょうか。
2012/03/29(木) 20:41:48 | URL | asa #-[ 編集]
わざわざのご回答ありがとうございます

今 日本の状態は逆進性のまっただなかだと思います

共存共栄アジアの人たちと利益を共有できれば本当にいいことだと思います

現在の状況は各国が利益保身に走っていると考えますが

こうした考えも反映してほしいものですね

貴重なご意見ありがとうございました
2012/03/29(木) 23:46:15 | URL | onititi #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。