「もっともっと欲しい」の貪欲の経済から、「足るを知る」知足の経済へ。さらにいのちを尊重する「持続の経済」へ。日本は幸せをとりもどすことができるでしょうか、考え、提言し、みなさんと語り合いたいと思います。(京都・龍安寺の石庭)
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広島県からの宅配便
 地産池消と食育のススメ 

 安原和雄
 広島県広報室発行のグラフ誌『すこぶる広島』(2006年 春号)が特集「食育のススメ」を組んでいる。郷里が広島県であるためであろう、東京暮らしの私に毎号が届けられる。地産地消(輸入食品に依存しないで、その地域で育てた食材を大切に使い切る「農」と「食」の生活)や食育にはかねてから関心を抱いてきたので、今回の特集は興味深く読んだ。(06年4月26日掲載)

 特集は冒頭、「食育のススメ」について「食べることは生きること。正しく食べることは、子どもたちの健康な心と体をつくることにつながる。<食>の大切さを、食生活の乱れが指摘される今こそ見直してみたい」と指摘している。同感である。
以下に具体例を紹介したい。

▽地産地消の給食で元気な体をつくります!(豊平南小学校発)

 県北西部のソバの里として知られる北広島町の豊平地区にある豊平南小学校のランチルームで学校栄養職員の有馬久美子先生が話した。
 「今日のレンコンは都志見(つしみ)の林さんが冷たい水につかりながら皆さんのために収穫してくださいました。感謝して食べましょう」と。一斉に「いただきます!」という声がこだました。
 ご飯は町内産のコシヒカリ、旬の野菜は無農薬栽培である。地域の安全な食材を使おうと、歴代の学校栄養職員が地域の農家に掛け合ってネットワークを広げ、調達してきた。また献立は、健康につながる「噛む力」をつけさせるため和食が中心となっている。

 3、4年生の総合学習時間では地元特産のソバを種まきから打つまでを体験する。指導するのは地元の「豊平手打ちそば保存会」の人たちである。

 沖政節子校長はこう語っている。
 「昔から五里四方のものを食べるのが体に良いとされています。子どもたちには地産地消の給食を通して健康な体をつくるのはもちろんのこと、ふるさとの食の豊かさを知ってほしい。飽食の時代だからこそ、感謝と誇りを持ってほしい」と。

 ここには食育のススメとして大切な言葉(キーワード)が沢山出てくる。
感謝、いただきます、無農薬栽培、噛む力、地産地消、誇り―など。飽食の中で忘れていたか、または軽視してきた心、感覚、姿勢である。

▽学校と家庭がスクラムを組んで基礎体力を上げます!(東城小学校発)

 県東北部の庄原市東城町にある東条小学校で今年も恒例の「給食まつり」が行われた。テーマは「子どもたちの体は手作りごはんから」。
給食まつりは、保護者から、わが家の人気料理、スピード料理、ひと工夫料理を事前に出品してもらい、その作品から人気の高かった料理を学校でつくって子どもたちと一緒に食べるという試みである。好評だった料理は「具だくさんそぼろどんぶり」、「揚げ餅サラダ」、「ミートボールの白菜スープ煮」、「ホカホカ白菜ベーコン」、「冷めた方がおいしいとりの唐揚げ」など。

 給食まつりは16年も前からはじまった。ねらいの一つは子どもたちの運動能力の向上につなげることである。全国的に小学生の基礎的な運動能力が低下しているからである。
 栃木孝一校長は次のように語っている。
 「こんなに食の豊かな時代なのになぜと、すごく衝撃を受けましたし、危機感も持ちました。そのためには、きちんとした生活習慣を身に付けさせるために、学校と家庭が一つになって取り組まなければと思ったのです。幸い、この地区は保護者も地域も熱心に協力していただけますから、取り組みも効果的に進んでいると思います」と。

キーワードは、学校と家庭のスクラム、手作りごはん、運動能力の向上―など。

▽料理教室から「食」の自立をめざします!(大竹小学校発)

 西の山口県に隣接する大竹市の大竹小学校では昨年(05年)から「チャレンジ! キッズクッキングスクール」をはじめた。学校栄養士でもあった泉谷昌子教頭がその仕掛け人である。
 スクールがめざすものは、第一に子どもたちに「食」の興味をもたせること。まず野菜を洗ったり、ちぎったりして素材に触れさせる。次に包丁を使って野菜を切らせてみる。さらに子どもたちの成長に合わせて、郷土料理の「もぶりご飯」という混ぜご飯などさまざまな料理を体験させる。
 第二にめざすものは、子どもたちが「自分で考えて作って食べる」という「食」の自立である。これをきちんと身に付ければ、大人になってからも規則正しい食生活が送れるだろうという期待がある。

 泉谷昌子教頭はこう語っている。
 「最近ではだいぶ<食>に興味がわいてきているようですし、作ったものは必ずきれいに食べています。食べ物に感謝する心が芽生えているのもうれしい。これまではいかに学力をつけるかが中心の教育でした。でも学力を身に付けるには、まずそのためのエネルギー、つまり食べて体力をつけることが必要です。食べることは生きること。その根源的な部分が大切にされていけば、学校がめざすさまざまな目標もスムーズに進むのではないでしょうか」と。

キーワードは、「食」の自立、食べ残しをしないこと、食べ物に感謝、食べることは生きること―など。

▽農業体験を通してふるさとに誇りをもってほしい!(西志和小学校発)

 広島市街地から自動車で40分ほどの距離にあって、のどかな田園風景が広がる東広島市志和町の西志和小学校では5年生の総合学習時間に農業体験を取り入れている。春にはもち米作り、秋にはネギ作りに取り組んでいる。
 その目的としているところは、農業離れが進んでいる中で自分たちの町にはどういう特産物があって、それはどんな風に育てられるのかを学び、体験することで、地域やふるさとを愛する心を育てようということである。
 同小学校では、地域の人たちから地域のことを学ぼうと、ネギ作りなどいろんな分野のプロを「マイタウンティーチャー」として招いているのも新しい試みといえる。

 郷土愛や愛国心は教科書によって上から押しつけ、教え込むものではないことを示す具体例とはいえないか。

 担任の竹内史雄先生は語っている。
 「農業体験の時間、子どもたちは実に生き生きとして、すごく楽しそうなんです。そして不思議なことに、野菜が嫌いな子どもでも、自分で育てたものならちゃんと食べるのです。この冬の農業体験で印象に残ったことがありました。去年10月に植えたネギが早く育つようにと年末にビニールをかけました。ところが大雪の重みでビニールがネギを押しつぶしそうになったんです。すごく寒い日だったのですが、みんな外へ出て雪かきをしてくれたのです。食べ物を大切にしようという心も芽生えているのかなと思いました」と。

キーワードは、特産物の手作り、食べ物を大切にする心、地域・ふるさとを愛する心―など。

 さて、わが国の食料自給率はわずかに40%(カロリーベース)で、先進国では最低であり、一方、食料輸入率は60%で、この高い海外依存度は異常である。参考までにいえば、先進国では日本以外の食料輸入国は英国(自給率74%)、ドイツ(自給率91%)で、一方、米国、フランスは自給率100%を超えており、食料輸出国である。
 折しも近未来に地球規模の食料不足に見舞われる恐れが広がりつつある。異常気象、発展途上国での人口急増、地球規模での食料生産力の伸び悩み―などが背景にある。日本としての対策はなにか。自給率を高める以外に妙策はないだろう。
 そこに浮かび上がってくるのが「地産地消のススメ」である。紹介した広島県のような事例は、日本列島のあちこちで多様な試みとして実践されているはずである。このような「農」、「食」、「育」の輪がもっともっと広がっていくことを願っている。


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コメント
この記事へのコメント
食べることは生きること
大竹小学校の泉谷昌子教頭のおっしゃる「食べることは生きること。その根源的な部分が大切にされていけば、学校がめざすさまざまな目標もスムーズに進むのではないでしょうか」と言うお話にはまったく同感です。こんな当然なことが、実は子どもたちの日常生活においては、軽視されているのではないでしょうか。お金を払えば、コンビニの棚から、ほとんど手をかけずに食べることができるものが手に入る環境の中に居ると、食べるためには色々な努力が必要なことなどに気がつかないまま大人になってしまう。これでは、食べ物やそれを作る人の労力までが粗末に扱われるようになるのも当然です。
振り返って見れば、縄文時代から江戸時代までのご先祖さまたちの生活は、まさに「地産地消」の典型です。そのように既に数千年もの実績のある生き方なんですから、できないわけがないと思います。あとは、私たちがやる気になるかどうかです。
2006/04/29(土) 00:29:51 | URL | 並野一民 #-[ 編集]
地産地消の豊かさ
早速のコメント有り難うございます。ご指摘の点は全く同感です。

特に以下の点が重要ではないでしょうか。
「縄文時代から江戸時代までのご先祖さまたちの生活は、まさに<地産地消>の典型です。そのように既に数千年もの実績のある生き方なんですから、できないわけがないと思います。あとは、私たちがやる気になるかどうかです」

自分の手足を使って、いのちの根源である食べ物をつくる、そういう努力が現在はたしかに十分とは言えませんね。
最近、他人様のいのちを奪うことを含めて犯罪が多発しています。多様な地産地消と食育が広がっていけば、いのちをもっと大切に考えるようにもなるのではないでしょうか。

教育の現場で努力されている先生方、それに協力されている地元の人
たちに期待するところ大なるものがあります。
農と食は経済に限らず、政治も含めて社会の土台です。私自身農家の生まれですから、日頃気になっているところです。
2006/04/29(土) 10:50:53 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
広島県からの宅配便は素晴らしい贈り物です。
「お陰様で」「もったいない」「いただきます」、節約と感謝の精神を日常の暮らしの中で大切にしよう、と訴える仏教経済塾にも力強いメッセージになったことと思います。
地産地消・食育の大切さを、4つの小学校発の具体例と、それの16のキーワードにより改めて考えさせられました。
飽食の時代、全ての人々が食育を考えねばなりませんが、特に、心身の成長過程にある子供たちへの教育があちこちで実践されつつあることは有り難いことです。食育基本法の施行も影響しているのでしょうか。
並野様のコメント、私も同感です。安原様の「食と農は経済に限らず政治も含めて社会の土台」とのコメントも同感です。
ゴールデンウイーク、孫達が遊びにきたら、小さな庭で栽培した野菜を一緒に収穫し、一緒に食べたいと思っています。
2006/04/29(土) 13:45:05 | URL | h.y. #-[ 編集]
地産地消の周辺概念として、「フードマイレージ」http://www.food-mileage.com/whats.htmlという考え方があります。

地元産、国産の食材でなく、輸入食材の方が「売れてしまう」のはつまり「安い」からにほかならないわけですが、遠くから輸送手段を使って運ばれてくるということは、そのプロセスで輸送のためのエネルギーを消費しているということ、つまりCO2を発生させて地球温暖化を進めてしまっているということです。

食べるものを選ぶことで、CO2を削減できる、だから地産地消を目指そう、という考え方です。

輸入食品はまた、安全性という点でも常により大きな不安がつきまといます。

しかし、今のところ、驚くほど輸入食材が優勢です。今の日本の大人たちにとって、安全に代えても「安い」ということがそこまで魅力的だとは思えません。ということは、それほどまでに無知で無頓着なのでしょうか。

地元産の食材や自分で食べ物を育て収穫することなどの食育を通し、子供たちは、今の大人たちの多くが失ってしまった「いただきます」「もったいない」の皮膚感覚を育てていっていることでしょう。広島の頑張りにエールを送ります。
2006/05/01(月) 11:26:44 | URL | marujun #e0p7.LDY[ 編集]
地産地消と食育
h.y.さん、marujunさん、コメントに感謝します。

「お陰様で」「もったいない」「いただきます」、節約と感謝の精神を日常の暮らしの中で大切にしよう、と訴える仏教経済塾にも力強いメッセージになったことと思いますーというh.y.さんのご指摘は誠に有り難い応援歌そのものです。

日本列島に節約と感謝の心が広がっていけば、美しい素敵な日本に変わっていくことは間違いないところだろうと期待しています。

marujunさんの「フードマイレージ」論は大事な点です。
輸入食材が国産もの、特に地元産に比べ、いくら割安であっても、長距離輸送に伴う二酸化炭素(CO2)発生による地球温暖化という環境汚染・破壊を進めてしまっては、全体のコストはむしろ高くなります。その落とし穴に気づきたいですね。

このように考えれば地産地消と食育は非常に広がりのあるテーマであることが分かります。
2006/05/02(火) 15:44:11 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
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