「もっともっと欲しい」の貪欲の経済から、「足るを知る」知足の経済へ。さらにいのちを尊重する「持続の経済」へ。日本は幸せをとりもどすことができるでしょうか、考え、提言し、みなさんと語り合いたいと思います。(京都・龍安寺の石庭)
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新自由主義はついに破綻した
世界金融危機の歴史的な意味

安原和雄
過去30年間猛威を振るってきた新自由主義(=市場原理主義)は自らの胎内から「100年に1度の危機」といわれる世界金融危機を発生させ、ついに破綻をきたした。『平家物語』の一節を借用すれば、「おごれる人も久しからず、たけき者も遂にはほろびぬ」であろうか。
 しかし新自由主義の総本山、米国の信奉者群は確信犯であるだけに淡い期待は禁物である。米国に追随して日本列島上に大きな災厄をもたらした日本版新自由主義は果たして転換に成功するだろうか。今回の世界金融危機の歴史的意味を考え、その上で新自由主義後の日本の針路を探る。総選挙を控えて、新たな選択の機会が待ち受けている。それにどう臨むか。この選択には一人ひとりの生き方がかかっている。(08年10月4日掲載、インターネット新聞「日刊ベリタ」、公共空間「ちきゅう座」に転載)

▽金融投資家、G・ソロスの警告 ―「超バブル」の崩壊と「歴史的大転換点」

 現在の世界は、アメリカの住宅バブルの崩壊に端を発した、深刻な金融危機の最中にある。この危機は単なるバブルの崩壊以上のものである。1929年の大恐慌以来最悪の状態が訪れ、ドルを国際基軸通貨とした信用膨張の時代が終焉を迎えようとしている。

 この四半世紀以上にわたって成長してきた巨大な「超バブル」がビッグバンのように弾けようとしている。この超バブルには、人々が誤った投資行動を続ける原因になった「支配的なトレンド」と「支配的な誤謬」とが存在した。「支配的なトレンド」とは、信用膨張、つまり信用マネーの飽くなき肥大化であり、「支配的な誤謬」とは、19世紀には自由放任(レッセフェール)と呼ばれていた、市場には一切規制を加えるべきではないという考え方 ― すなわち市場原理主義である。
 だがこれ以上の信用膨張はもはや不可能になり、しかも市場原理主義の誤りが余すところなく暴露されてしまった今回の危機は、歴史の大きな転換点にならざるををえないだろう。

 以上の分析は、ジョージ・ソロス著/徳川家広訳『ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ』(講談社、08年9月刊)の一節である。
 注目すべき指摘は「市場原理主義、つまり新自由主義は誤り」と断定したうえで、「歴史的な大転換点になる」とみていることである。

 (なお著者は1930年ハンガリー生まれで、アメリカに移住し、現在、ソロス・ファンド・マネジメント会長。世界的な金融投資家として知られており、今日までに1兆3000億円ともいわれる莫大な個人資産を築いた。自ら設立した財団を足場に慈善事業や政治活動にも取り組んでいる)

▽「100年に1度の危機」はこうして表面化し、進行中だ

 今回の世界的な金融危機は、昨07年8月、米国の大手住宅ローン会社アメリカン・ホーム・モーゲージ社が従業員の半分以上を一時休職処分にし、倒産を申請した時から表面化した。サブプライムローン(低信用層向けの高金利住宅ローン)が住宅バブルの崩壊とともに回収できなくなり、大損失が発生したためである。グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「100年に1度の危機」と言ったのは、1929年の世界大恐慌以来の深刻な金融危機という意味である。
 その深刻ぶりは、以下の今08年に入ってから、特に9月に米国を中心に相次いだ企業の破綻・合併・救済などの慌ただしい動きをみれば、一目瞭然である。

[08年に入ってからの金融危機の実相]
・3月16日 米証券5位のベアー・スターンズがJPモルガンに救済合併される
・9月7日 米政府、米住宅金融公社に公的資金を供給し、政府管理下に入れる
・15日 米証券4位のリーマン・ブラザーズ破綻(損失額 約1兆6000億円)。米銀行2位のバンク・オブ・アメリカが米証券3位のメリルリンチ合併を発表。これで米大手証券5社のうち3社が破綻・合併
・16日 米連邦準備制度理事会(FRB)が米保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に最大9兆円融資発表
・18日 日米欧の6中央銀行が異例のドル資金協調供給策(1800億ドル=約19兆円)を発表
・19日 米政府、包括的金融安定化策(7000億ドル=約75兆円の公的資金による不良債権=資産の買い取り)を発表
・21日 米証券1位ゴールドマン・サックスと2位モルガン・スタンレーが証券会社(投資銀行)から商業銀行化へ。特別融資などFRBの支援を受けやすくなる
・22日 三菱UFJがモルガン・スタンレーに出資発表。野村ホールディングスも破綻したリーマン・ブラザーズのアジア・太平洋部門を買収へ  

・24日 国際通貨基金(IMF)の専務理事は金融危機の損失コストは世界全体で1兆3000億ドル(約138兆円)に上るとの見通しを明らかにした。18日に発表されたドル資金協調供給策の規模をオーストラリア、スウェーデンなど4中銀も加えて約2900億ドルに拡大
・25日 米貯蓄貸付組合最大手ワシントン・ミューチュアル破綻
・29日 米下院、金融安定化法案を賛成205、反対228で否決。大統領与党の共和党の3分の2以上が反対した。NY株式市場は史上最大の777ドルの下げ幅を記録。日米欧を中心とする中央銀行は、異例のドル資金協調供給総額を一気に倍増させ、約6200億ドル(約65兆3200億円)に拡大すると発表

・10月3日 米上院が先日、修正金融安定化法案を再可決したのを受けて、下院も賛成263、反対171で可決。ブッシュ大統領は「これで世界経済で指導的立場を維持できる」と演説した。

以上の一連の動きの中で注目に値するのは、9月29日米下院が金融安定化法案を一時的にせよ、否決したこと。世論調査によると、国民の6割以上が公的資金、つまり税金によって、暴利を貪った金融業者を救済するのは疑問という態度である。新自由主義に対する不満、批判をうかがわせる。しかも共和党の大統領提案に共和党議員の反対が多かったことは皮肉である。

▽「カジノ資本主義」の成れの果て ― 「劇的な恐慌」

 ここで想起したいのはスーザン・ストレンジ著/小林襄治訳『カジノ資本主義 国際金融恐慌の政治経済学』(岩波書店、1988年刊)のつぎの一節である。
 注意を促したいのは、今から20年も前の指摘であることだ。今回の世界的な金融危機は、この著作で説かれた「カジノ資本主義」の成れの果てであり、起こるべくして起こったというべきである。

西側世界の金融システムは急速に巨大なカジノ(公認賭博場)以外のなにものでもなくなりつつある。毎日ゲームが繰り広げられ、想像もできないほど多額のお金がつぎ込まれている。
 カジノと同じように、今日の金融界の中枢ではゲームの選択ができる。ディーリング(売買)― 外国為替やその変種、政府証券、債券、株式の売買が行われている。先物を売買したり、難解な金融新商品の売買で将来に賭をできる。この世界的な金融カジノの元締めが大銀行と大ブローカーである。彼らは「会社のために」プレーしている。しかし長期的には最も良い生活をするのは彼らである。

 確かなことは、それ(賭博場と化した国際金融システム)がすべての者に影響を及ぼしていることである。自由に出入りできるカジノと、金融中枢の世界的カジノとの大きな違いは、後者では我々のすべてが心ならずもその日のゲームに巻き込まれていることである。大金融センターのカジノで進められていることが、新卒者から年金受領者まですべての人々の生活に、突然で予期できない、しかも避けられない影響を与えてしまうのである。

 このことは深刻な結果をもたらさざるを得ない。将来何が起きるかは全くの運に左右されるようになり、熟練や努力、創意、決断、勤勉がだんだん評価されなくなる。そうなると社会体制や政治体制への信念や信頼が急速に消えていく。自由な民主社会が最終的に依拠している倫理的価値への尊敬が薄らいでいく危険な兆候が生じる。(中略)今や、運が怠惰や無能と同じように仕事を奪うかも知れない。
 こうしたわけで、不確実性の増大が、自発的ではないしても、我々のすべてを賭博常習者にしてしまっている。

 運によって左右される領域が大きくなりすぎ、システムが非常に恣意的で不平等に運営されているように思われる。こうなると欲求不満や怒りが強まり、いっそう暴力的に表現されるようになる。
 金融の世界を支配している不確実性は、個人生活ばかりでなく、政府や国の運命にも、そして遅かれ早かれ国と国との間の関係にも広がっていく。この拡散は、1929年大恐慌の後にも生じた。今また、この不確実性が世界市場経済に劇的な恐慌をもたらすかどうかは、一般の人々にも関心のあることに違いない。

以上、長めの引用となったが、20年前に予測された「劇的な恐慌」が、現に今、世界規模で進行中なのである。指摘されている「不確実性」は今や日本でも日常茶飯事の現象であり、明日のいのちも分からない。
 文中に「難解な金融新商品」という表現が出てくるが、その一つが今回の金融危機の発端となったサブプライムローンを証券化した金融新商品である。なぜ「難解」かといえば、金融工学を駆使して、つくり出された金融新商品の複雑な仕組みが当事者にも分かりにくくなっているからである。

(なお著者は1923年生まれ、LSE(ロンドン大学経済学部)卒。ロンドン・エコノミスト誌などの記者を経てLSEの国際関係論主任教授などを歴任。1998年没)

▽地球規模で広がる怒り ― 新自由主義(=市場原理主義)への批判

 地球規模で新自由主義への怒りと批判の炎が燃え上がっている。そのいくつかを紹介しよう。

*南米4カ国の大統領 ― 新自由主義の経済モデルから南米の解放を
 ブラジル、ベネズエラ、ボリビア、エクアドルの大統領は9月30日ブラジルで会談し、世界金融危機をめぐって米国の責任を追及した。
 ベネズエラのチャベス大統領は危機の根源として「米政府と市場原理主義者の無責任」を挙げた。同時に南米諸国の独自の銀行、「南米銀行」の早期始動を訴えるとともに「同銀行が機能すれば、有害な新自由主義システムから南米を解放できる」と強調した。
ボリビアのモラレス大統領は、「金融危機の代償を払わされているのは米国や世界の貧しい人々だ。経済モデルの変革を真剣に検討するときである。資本主義は人類にとって何の解決にもならない」と指摘、さらにブッシュ米政権が公的資金を投入して金融機関から不良資産を買い取ろうとしていることについて「ボリビアでは貧しい人を救うために国有化しているが、米国ではお金持ちのために国有化しようとしている」と皮肉ったと伝えられる。

*ドイツの財務相 ― 米国の自由放任型金融システムを批判
 シュタインブリュック独財務相は、9月25日連邦議会(下院)で金融危機について米国の自由放任型金融システムを厳しく批判、「米国は世界金融体制の中で超大国の地位を失うだろう。世界の金融体制は多極化することになる」と述べた。また米英両国の金融機関が異常な高利益と巨額の報酬を得ていることについて「投資銀行家、政治家はこれを手放そうとはしない」と非難した。
さらに世界の準備通貨としてのドルは「円(日本)、ユーロ(EU)、元(中国)によって補われることになる」としてドルの地位が相対的に低下していくことを予測した。危機再発の防止策として投機的空売りの禁止、失策を犯した個人に責任を取らせるルールづくりなどを提案した。

*フランスの大統領 ― 市場万能主義は市場経済ではない 
 サルコジ仏大統領は9月25日南仏で演説し、市場万能主義を掲げる金融資本主義を「資本主義でも、市場経済でもない」と批判した。そして市場経済とは「発展、社会、万人のために規制された市場のこと」であり、資本主義とは短期的(利益の追求)ではなく、「長期的な成長」だと主張した。
さらに資本主義では投機家ではなく、企業家や労働の対価が優先されるべきだと主張、進行中の金融危機は「資本主義の危機ではない。資本主義の根本的価値からかけ離れたシステムの危機」と指摘した。
 大企業経営者や大株主が高額の報酬を得ていることには「多くの乱用や汚職がみられる」 として「法による規制の導入も必要」と述べた。

*イギリスの首相 ― 規制のない自由市場は誤り
ブラウン英首相は9月23日英労働党大会で「大きな政府という主張の間違いと同様に、全く規制のない自由市場という主張の誤りも明らかになった」と述べた。
 さらに今後英国と世界がめざすべき金融改革として、①透明性の確保、②危険を制御できる健全な銀行業務、③金融機関経営陣の責任明確化、④短期投機にではなく、勤勉、努力、やる気に報酬が支払われる規範づくり、⑤世界規模の監督体制の構築 ― を挙げた。

*アルゼンチンの大統領 ― 「市場がすべてを解決する」政策は失敗
フェルナンデス・アルゼンチン大統領は9月23日国連総会一般演説で米国発の金融危機は「カジノ経済」の結果と指摘、新自由主義の経済モデルを見直す「歴史的好機」と述べた。また米政府、WTO(世界貿易機関)、IMF、世界銀行主導の「ワシントン・コンセンサス」として中南米諸国に押しつけられた「市場がすべてを解決する。国家の介入は不必要」という新自由主義政策の失敗は明白だと指摘した。

▽金融危機を歴史的に位置づければ ― 新自由主義の破綻

 大局的な歴史の推移からいえば、1929年に始まる世界大恐慌は「旧自由主義」路線の破綻を意味した。それまでの自由放任経済の終焉でもあった。その後登場したのがご存知のケインズ(イギリスの経済学者)流の赤字財政政策による内需主導型経済拡大策だった。第2次大戦後30年くらいはこの政策は経済成長を促すために有効だったが、やがて石油危機とスタグフレーション(低成長とインフレの共存)、さらに財政破綻に見舞われて、「小さな政府論」が登場し、ケインズ政策は不人気となってきた。

 そこへ華々しく登場してきたのが米シカゴ学派の唱える「新自由主義」路線で、「規制のない自由な市場こそ万能」という主張である。グローバリゼーションの下での資本・金融自由化、公的企業の民営化をスローガンに多国籍企業など大企業、大金融機関などの「自由な利益追求」の確保が優先されるようになった。大衆に犠牲をしわ寄せして、資本主義の再編成をめざすこの路線は1980年前後から米国(レーガン政権)、英国(サッチャー政権)、日本(中曽根政権)の3か国で始まった。福祉を重視する北欧などヨーロッパ型資本主義との差異が話題にもなった。

 日本でこの新自由主義が本格化したのは小泉政権のいわゆる構造改革(大規模な規制自由化、民営化さらに弱肉強食の競争を進めて貧困・格差を拡大し、その一方で大企業の優遇策を実施)である。米国では金融工学を自由に駆使するサブプライム・ローン問題が新自由主義の顕著な一つの具体例といえる。

 こうみると今回の金融危機は「100年に1度の危機」、「超バブルの崩壊」、「劇的な恐慌」― などと呼称は多様であるが、それをもたらした元凶が新自由主義路線であり、その新自由主義路線そのものがついに破綻したという歴史的意味を見逃してはならない。

 私(安原)は07年9月、政権を投げ出した安倍首相の後継として福田政権が発足した時、つぎのように指摘した。(〈新自由主義路線からの転換を 福田「背水の陣」内閣に望む〉と題してブログ「安原和雄の仏教経済塾」に07年9月26日掲載)

 福田首相は新内閣を「背水の陣内閣」と性格づけた。先の参院選で惨敗した自民党は、一歩間違えば、政権から転落するという危機感を表明したものである。転落を避けたいのであれば、小泉・安倍政権が実施してきた新自由主義路線から思い切って転換する以外に妙手はない。その転換が先の参院選で示された民意からみて評価できない程度の中途半端なものであれば、福田政権も短命に終わるほかないだろう―と。

 不幸にもこの予測は的中し、福田政権は1年で政権を投げ出した。後継の現麻生政権の運命はいかに?

▽「小泉逃走」後の日本の針路は? ― 新しい経済モデルが争点に

 米英日3か国の新自由主義は果たしてどこへ行くのか。破綻した後、システムの一部手直しによって再びよみがえってくるのか。特に米国の推進者たちは確信犯であるだけに座視したまま、自動消滅に甘んじるとは考えにくい。
 英国は労働党政権の下ですでに軌道修正を図りつつある。残るのは日本で、一体どうなるのか、またどうすべきなのか。

 小泉元首相がつぎの総選挙には出馬しないと引退表明を行った。子息を後継者に仕立てたことが話題になっているが、私は引退表明を「小泉逃走」と観る。小泉元首相こそ日本における本格的な新自由主義路線の元締めであり、日本列島上に大きな災厄をもたらした。昨今の金融危機、すなわち新自由主義路線の挫折を「我に利あらず」、つまり逆風が吹き始めたと察知して、逃走したのだ。

 問題は「小泉逃走」後の日本の針路をどう定めるかである。つぎの毎日新聞社説に着目したい。
 一つは「米国発金融危機 市場の失敗から何を学ぶか」と題する9月21日付社説で、こう指摘している。
 「危機が収まり金融システムに安定が戻った後も、市場と政府の関係は大きく変更を求められよう。どの程度の政府関与が望ましいのか、グローバル化時代の規制はどうあるべきか、といった議論を深める必要がある。(中略)市場至上主義に代わる新たなモデルとは何なのかといった根源的なテーマを、米国だけでなく我々も考えていかねばならない」
 もう一つは「米大統領選討論 資本主義の新モデル示せるか」と題する9月28日付社説で、2人の米大統領候補に注文する形で上記の社説と同じ趣旨を論じている。
 どちらも新自由主義後の新しい経済モデルのあり方に視点を定めていることを評価したい。この視点こそが今後の大きな争点になっていくことは間違いない。

さて日本の今後の針路としてつぎの3つが想定できる。争点は新自由主義の是非である。
(1)麻生首相が所信表明で明らかにした路線
 新自由主義は大筋で維持しながら、景気対策や経済成長論で表面を一時的に飾り立てる手法である。一方、日米同盟堅持、国連軽視の路線であり、持続性は期待できない。
(2)小沢民主党代表が代表質問で明らかにした路線
 国民生活重視の政策を掲げる。一方、日米同盟も国連も重視していく。ただ新自由主義と離別していくのかどうかが明確ではない。
(3)新自由主義からの根本的な転換をめざす路線
 国民生活立て直しのために財政、税制を大幅に組み替える。軍事費などを削減する一方、消費税は引き上げない。大企業優遇制度を見直す。外交面では国連を重視し、日米同盟は中長期的視野で解体していく。

 以上3つの路線のどれになるかは、いうまでもなく国民の選択による。ただ世界の新しい潮流として米国離れが急速に進行しつつあり、しかも新自由主義は地球規模で批判にさらされていることを視野に入れる必要があるだろう。国民の新たな選択は、日本が米国に気兼ねする余り、世界の中で孤立していくのか、それともそれを拒否するのか ― の選択でもある。


〈参考:新自由主義関連の記事〉
 かっこ内は、ブログ「安原和雄の仏教経済塾」に掲載の年月日
・日米安保体制解体を提言する 安保後をどう築くか(08年9月20日)
・もし私が新首相に選ばれたら その時の「所信表明」の中身(同年9月10日)
・行き詰まり顕著な新自由主義 経済、人間、命を壊していく(同年7月30日)
・市場原理主義者よ、腹を切れ 世界の食料危機に直面して(同年4月26日)
・サブプライム問題と米帝国の終末 「リベラル21」での論議から(同年4月4日)
・新自由主義路線からの転換を 福田「背水の陣」内閣に望む(07年9月26日)
・日米同盟見直しが必要な時 安倍政権破綻後の日本の針路(同年9月13日)

(寸評、提案大歓迎! 下記の「コメント」をクリックして、自由に書き込んで下さい。実名入りでなくて結構です)
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コメント
この記事へのコメント
ポスト新自由主義は?
「小泉逃走」後の日本の針路は? という課題設定には、大きな関心があります。
まず「小泉逃走」という認識がおもしろいように感じます。メディアの多くが伝える「小泉引退」がなぜ「小泉逃走」なのか。日本版新自由主義の元締めであり、その新自由主義が破綻した今、たしかに元締めにとっては「我に利あらず」です。
 小泉元首相は単純なところもあるようだから、自己批判も含めて、そういう認識に至っているかどうかは今ひとつのような気もします。ただ個人の主観はともかく、客観的にはまさに「逃走」というほかありません。
 ただ気になるのは、一般メディアにそういう捉え方がほとんど見当たらない点です。新自由主義自体への認識が希薄だし、小泉元首相がその張本人だという認識も十分ではないでしょう。「小泉劇場」とはやしてきたわけで、むしろ小泉主導のいわゆる構造改革を評価する論調が支配的でした。最近になって貧困・格差拡大に疑問を呈しても、時すでに遅し、の観があります。

 さてこれからの日本の針路こそが最大のテーマであるはずです。もちろん新自由主義の主導国、米国にとってもそうです。新自由主義からの根本的な転換が果たしてできるのかどうか。
今年11月の米国大統領選の行方、さらに日本の総選挙の成りゆきは目が離せません。おもしろい季節になってきました。ポスト新自由主義をめぐる論争の季節でもあります。
2008/10/07(火) 12:59:26 | URL | 高岡雄 #-[ 編集]
ポスト新自由主義はどこへ
高岡さん、コメントに感謝します。

 興味深い記事を見つけました。  「米は社会主義に チャベス・ベネズエラ大統領」という見出しの記事(08年10月7日付毎日新聞、メキシコ市・庭田学記者)で、つぎのように報じています。
 南米ベネズエラの反米左派、チャベス大統領は、金融危機に直面する米国が「いずれ社会主義になるだろう」との考えを示した。米ブッシュ政権が7000億ドル(75兆円)の公的資金投入で金融機関を救済しようとしている「国家介入」について、同大統領は10月2日、「(ソ連の)レーニン政策と同じ方策だ」と皮肉り、「これは人民を救済するものではなく、金持ちと沈没しそうな銀行を救済するためだ」と米政府を批判した。
 同大統領は、人類を救う唯一の道は社会主義だとして、「米国はいつの日か社会主義に向かう。このことに私は少しの疑問も抱いていない」と述べた ― と。

 この記事では彼が社会主義について国有化を軸に考えているのかどうかは、はっきりしません。ともかく彼の理想は未来の社会主義なのでしょう。ベネズエラがそういう未来を志向するのはもちろん自由です。
 ただここでの問題はさしあたりポスト新自由主義は何か?です。新自由主義は破綻したとして、そのつぎの新路線として何を選択するのかです。
 これまで新自由主義をごり押ししてきた米英日だからといって、いきなり資本主義か社会主義かという課題設定は飛躍がありすぎます。ポスト新自由主義ではあるが、ポスト資本主義ではないと思います。いかがですか。いいかえれば、資本主義的市場経済という大枠の中での選択です。それがどういうメニューになるかはこれからの争点です。
2008/10/07(火) 16:59:34 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
あなたの選択肢は?
たしかに「小泉逃走」後の日本の針路は? という認識と問題提起には賛成です。
ただ安原さん、あなたにお聞きしたいのは、提示されている3つの選択肢のうちあなた自身の選択肢はどれか、という点です。「国民の選択による」と指摘していますが、一般化しないで、できればあなたご自身の立場を明示していただければ、参考になります。
日本の針路は、きわめて重要な問題だと思いますので、あえてうかがいたいと思います。
2008/10/08(水) 13:39:10 | URL | へそ曲がり #-[ 編集]
自民党はその資格gaはない
へそ曲がりさん、率直な質問をいただきました。私の考えを述べます。
私はつぎの3つの選択肢が想定できると書きました。

(1)麻生首相が所信表明で明らかにした路線
 新自由主義は大筋で維持しながら、景気対策や経済成長論で表面を一時的に飾り立てる手法である。一方、日米同盟堅持、国連軽視の路線であり、持続性は期待できない。
(2)小沢民主党代表が代表質問で明らかにした路線
 国民生活重視の政策を掲げる。一方、日米同盟も国連も重視していく。ただ新自由主義と離別していくのかどうかが明確ではない。
(3)新自由主義からの根本的な転換をめざす路線
 国民生活立て直しのために財政、税制を大幅に組み替える。軍事費などを削減する一方、消費税は引き上げない。大企業優遇制度を見直す。外交面では国連を重視し、日米同盟は中長期的視野で解体していく。

以上の選択肢のうち、(1)でないことは明らかです。自民党はすでに政権担当能力を失っていると考えます。先の自民党総裁選に至る5候補揃い踏みの街頭演出はいかにもお粗末でした。多くの国民を白けさせた結果に終わったのではないかという印象です。

では、残る(2)、(3)のうちどちらか、といえば、(3)です。このブログ「安原和雄の仏教経済塾」でも新自由主義を批判し、日米安保体制の解体を提言してきました。
これが私の唱える仏教経済学の立場から導き出される戦略的志向です。中長期的にはこの方向が世界の新しい潮流に合致しているし、国民生活を立て直すにはこの選択が最良と判断しています。

とはいえ、目先の戦術的判断となると、若干異なります。つまりつぎの総選挙で貴重な1票を誰に投じるかとなると、それは戦略よりも戦術的判断を重視する必要もあります。
目的はともかく賞味期限の切れた自民党に政権の座から降りてもらうことです。
以上が最近、私がつらつら思念していることです。
2008/10/08(水) 18:09:39 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
北欧型経済はどうですか
 岡野守也さんをご存知でしょうか。
 北欧型経済システムを参考に「持続可能な社会」を日本に根付かせたいとシンポジウムで講演されたりしております。そのグループに小澤徳太郎さんなども入っているようです。
 大学教授など知識人が政治的運動を引っ張る構図がこの国にはあまりにも少なすぎます。本日はじめて安原先生のブログを拝見しましたが、上記の先生方の主張とそれほど外れていないと思いましたので、安原先生もこのグループに参加されてはいかがでしょうか。
 余計なお世話かと思いましたが、新自由主義経済システムに代わる新たな経済システムの構築に知識人の知恵を結集し、新新経済システム(北欧型以上の)を世界に先駆け提案していただきたいのです。ご検討の程お願いいたします。
2008/10/13(月) 23:08:13 | URL | 北欧かぶれ48 #-[ 編集]
北欧型経済について
北欧かぶれ48 さん、貴重なコメントをいただきました。さまざまな分野で多様な人材が活躍されていることは喜ばしい限りです。
とても明るいとは言えない日本列島ですが、大兄が示唆されているように日本も棄てたものではありません。

北欧型経済システムにはわたし自身も以前から注目してきました。日本の今後の針路を探る上での有力候補です。ポスト新自由主義の日本の針路をどう設定していくかが、今後の大きな争点になります。
ご活躍を祈っています。
2008/10/15(水) 16:03:31 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
日本の安全
アメリカとその協調を批判するのは簡単ですが、国の安全保障はどうなりますか?自衛隊が弱小であるのは明らかです。諜報網すら十分もてない軍など実践で機能しないでしょう。韓国の前大統領は”日本とは一度やりたい”と発言したそうです。また中国の指導層は強烈な反日の背景をもっている人が多くいます。”華国鋒”は”中華抗日先鋒隊”という部隊名からつけられたそうですし、江沢民氏の家族に関する噂は十分に嫌日になる要素があります。小平も対日戦の大将軍でした。日本人は思わなくても”やっつけたい”という隣国指導者がでてくる可能性はあります。日米安保のみがその防波堤になっているのではないですか?中国は強大でベトナムに戦争をしかけた実績もあります。英国を脅して香港を返還させもしています。国民に深く反日を教育しておりこの結果は恐ろしく感じられます。能力を隠して強くなれという方針は見事に開花し、今や世界恐慌になればますます強力になりそうな中国にどう向き合っていくかが日本の課題ではないでしょうか。
2008/10/15(水) 22:44:25 | URL | 仏教探求 #AIlHpmOk[ 編集]
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