「もっともっと欲しい」の貪欲の経済から、「足るを知る」知足の経済へ。さらにいのちを尊重する「持続の経済」へ。日本は幸せをとりもどすことができるでしょうか、考え、提言し、みなさんと語り合いたいと思います。(京都・龍安寺の石庭)
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もし私が新首相に選ばれたら
その時の「所信表明」の中身

安原和雄
 タイトルの「私が新首相に選ばれたら」の私とは、私(安原)というよりもむしろ多くの国民一人ひとりを指している。その私の心にある政治への期待、見解、希望を描いてみる。自民党総裁選後、新総裁が臨時国会冒頭で新首相に選ばれるのは間違いないだろう。
 所信表明演説の後、解散、総選挙になるのであれば、その所信表明の中身こそが総選挙の行方を決めるカギになるのではないか。その中身は私たちの期待や希望に十分応えるものになるのかどうか、そこが見どころである。(08年9月10日掲載、インターネット新聞「日刊ベリタ」、公共空間「ちきゅう座」に転載)

▽新首相に期待される「所信表明」

 自民党新総裁選出後の臨時国会冒頭で新首相が誕生し、想定される新首相の所信表明演説(骨子)はつぎの通り。

 私は日本人でたった一人にしか与えられない栄誉、日本国首相として感謝と厳かな気持ちで、確信を持って本日、所信を表明したい。
 私は首都、東京を、そして日本を変えるのにふさわしい新しい内閣をつくった。古くさい勢力に警告しておきたい ― 新しい変革がやってくるぞ、と。

 私は一匹狼とも呼ばれている。その意味するところは、私は党のためでも特定の利権のためでもなく、善良で勤勉な国民のために働くということだ。
 私は、わが党の誇りを取り戻すために全力を尽くす。腐敗、私利私欲、偽装、怠惰、手抜きの誘惑に負けたせいで、我々は同胞である日本国民の信頼を失った。これを変革し、信頼を取り戻したい。そのために何をなすべきか。

 第一に日本国憲法9条改正の誘惑を排して、9条を堅持する。世界中に反戦・平和を希求する声が広がりつつある。日本国民に限らず、世界の多くの人々が、9条に込められた平和への崇高な理念を高く評価していることに応えなければならない。

 第二に安全保障、財政・税制のあり方について抜本的な見直しが不可欠となった。選択肢は景気対策か財政再建か、という二つに一つの狭いものではない。財政・税制を根本的に変える必要がある。その主な柱はつぎのようである。

*防衛費(年間約5兆円)の大幅な削減に着手する。軍事力によって平和を確立できる時代ではもはやない。
*新テロ特措法(有効期限は来年1月15日)にもとづく米軍などへのインド洋での給油活動を中止する。無条件の対米協力は人心から離れている。
*血税浪費の典型である巨費を要する高速道路づくりを凍結する。
*社会保障費削減の中止、後期高齢者医療制度の廃止に踏み切る。
*食料自給率(40%、先進国で最低)を高める一環としてコメの輸入(最低輸入義務量)を中止する。
*再生不能なエネルギー(石油、石炭、天然ガス、原子力)を減らして、再生可能な自然エネルギー(水力、太陽光、風力、バイオマスなど)への転換に重点を置く。自然エネルギーに必要な大規模投資を実行する。
*地球温暖化防止の一助として環境税を導入する。消費税は引き上げない。
*法人税優遇税制の見直しをすすめる。
*小泉政権以来実施された新自由主義路線(市場原理主義にもとづく弱肉強食による格差・不公平・失業・貧困の拡大)は国民の生活・福祉の向上と相反する面もあり、顕著に見直していく。

 国民の皆さん、私とともに戦ってほしい。立ち上がり戦おう。我々は皆、日本の現状を改革し、希望に満ちた素晴らしい未来をつくりあげていくことを決してあきらめない。歴史から逃げることはしない。本日ただ今から我々が自分の手で新しい日本の歴史 ― 後世に恥じない歴史 ― をつくっていくのだ。

▽国民の声に応える政権に必要な条件は?

 上記の所信表明を読んで、どこかで聞いたようだと直感できるのであれば、米大統領選にくわしい人である。そう、米共和党の大統領候補に9月4日(現地時間)指名されたジョン・マケイン上院議員の受諾演説(新聞報道による)を下敷きにして、それに日本色を織り込んで書いたものである。政策の中身としては多くの私たちが心にそこはかとなく描いている改革設計図を提示した。

 自民党の新首相にこういう所信表明ができるようであれば、新政権を担ぐ自民・公明両党は総選挙で圧勝し、しかも長期政権になることは間違いないだろう。
 焦点は新首相のポストに誰が座るのかである。民主党は代表選告示日の9月8日、小沢一郎代表のみが立候補したため、小沢氏の無投票3選が決まっている。一方、自民党はどうか。総裁選告示日の9月10日午前、つぎの顔ぶれが名乗りを上げた。
 石原伸晃元政調会長(51)、小池百合子元防衛相(56)、麻生太郎幹事長(67)、石破茂前防衛相(51)、与謝野馨経済財政担当相(70)の5人(届け出順)。

 9月10日午後2時から自民党本部で候補者5人の共同記者会見が行われ、NHKテレビで一部始終を観た。5人の意見が完全に一致したのは、インド洋での給油活動の継続である。民主党は継続に反対しているが、自民党には給油活動という対米協力は批判を許さぬ聖域となっているらしい。
このように惰性から抜け出せないようでは、候補者の顔ぶれは、女性も一人加わってこれまでにないにぎやかさだが、とても国民の声に応えられそうにはない。

 結局、自民党は総選挙で敗北するか、あるいは辛勝して新内閣を発足させても、短期政権に終わることは間違いないだろう。安倍、福田両政権につづいて3度目の政権投げ出しという醜態を演じる可能性もある。「二度ある事は三度ある」のたとえもある。
 要するに小泉、安倍首相時代のいわゆる構造改革とは異質の上記のような改革設計図そのままでなくとも、それを参考にした新しい改革路線を提示できないようでは自民党はもはや政権担当能力を失っているというほかない。時代の新しい潮流から取り残されているのだ。


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コメント
この記事へのコメント
私も首相になってみたい
なるほどこういう手法もありますか。新鮮な感じがあります。
仮想「所信表明」の中で、特に興味深く感じたのは、自民党への自己批判のところです。次のように述べています。「わが党の誇りを取り戻すために全力を尽くす。腐敗、私利私欲、偽装、怠惰、手抜きの誘惑に負けたせいで、我々は同胞である日本国民の信頼を失った」と。

今のところ自民党幹事長の麻生氏が首相への最短距離にいて、最有力なのでしょうが、かれがこういう懺悔をやってのける度胸があれば、国民はアッと驚くかも知れない。票も増えるのではないでしょうか。しかし現実にはそういう度胸はないのでしょう。
ともかく国民一人ひとりが「私が首相になったら、こういう政策を実行したい」という意見、構想を持つべきです。あなた任せでは日本はいつまでも変わりません。確信をもって言えます。
2008/09/11(木) 15:48:24 | URL | へそ曲がり #-[ 編集]
紙つぶて
選挙は紙つぶてである。非暴力の極みである。いささか生ぬるい。所信表明である。国民の怒りはもっと
深い絶望と自暴自棄の際まで来ているとみるべきである。小泉の下手な英語の演説を思い出す今日9・11である。まず60年も続いた自民主導政権はもう完全にウロが来て終わり終われと叫ぶ論説する必要を識者は歴史への責任として語ってほしい。殆どのマスコミに載る記事には
ほとんど毒がなさすぎる。もっと毒ある政権打倒の文を、怒りが腹底から込み上げ爆弾火炎瓶糞袋卵トマトをぶつけたくなるくらいの文章を
期待する。真の紙つぶてで政権を倒すために。それが識者の務めであろうと思う。ご期待する。
2008/09/11(木) 23:32:15 | URL | kamonohashi #-[ 編集]
聖域視しないでメスを
へそ曲がりさん、kamonohashiさん、コメントに感謝します。熱のこもった心情を共有したい気持ちです。

さて一つの参考材料を提供したいと思います。毎日新聞(9月12日付)は財務省、経産省などの経済官僚が自民党総裁選に絡んでなにを考えているのか、を緊急アンケートとして報じています。それによると「増税論」を支持し、望ましい自民党総裁としてトップに増税派の与謝野馨氏をあげています。最有力とされている麻生太郎氏は2番目です。

問題は、なぜ増税が必要なのか、です。
その最大の理由は、09年度に予定される基礎年金の国庫負担割合(現行3分の1)の2分の1への引き上げに必要な財源(年間2.3兆円)をひねり出すためです。だから増税を、という考えは、安易に過ぎます。というのは現在の歳出構造の大口どころでは削減の手をつけないことを前提にしているからです。

期待される「私の所信表明」にあるように防衛費、高速道路の巨費削減に向けてメスを入れない手はないでしょう。
もう一つ、「政府、川辺川ダム(熊本県)建設中止へ」の動きが報じられています。地域住民が反対していたダム計画で、このように地域住民の反乱に直面しているダム計画は 全国に沢山あります。建設費は総計すれば兆円単位になります。住民の意思を受け容れて建設を中止すべきでしょう。

歳出の無駄、浪費を正当化するわけにはゆきません。メディアにも増税支持派はかなり巣くっています。意識の上では国家権力の一翼を担っているのです。
防衛費、高速道路、ダムはいずれも利権がらみです。利権を「聖域」扱いするのは時代錯誤です。ここにメスを入れれば、年金財源をつくるのは、単純な算術の問題であるはずです。そういう算術が解けないようでは、自民党はもはや政権担当能力を失ったと認識すべきです。
2008/09/12(金) 11:29:42 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
おっしゃる通り
おっしゃる通り。自民も公明も民主も軍事費のことには一切触れませんでした。これはかなり政治的でありますが当然かもしれませんが。よく見えぬ埋蔵金をあてにする話より軍事費へ何も言及しないのは誠に情けない話ではないでしょうか。同感です。
2008/10/04(土) 00:13:01 | URL | kamonohashi #vqm8JHu.[ 編集]
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