「もっともっと欲しい」の貪欲の経済から、「足るを知る」知足の経済へ。さらにいのちを尊重する「持続の経済」へ。日本は幸せをとりもどすことができるでしょうか、考え、提言し、みなさんと語り合いたいと思います。(京都・龍安寺の石庭)
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21世紀版・小日本主義の勧め
今、石橋湛山に学ぶこと
  
安原 和雄
 第二次大戦前から「大国主義」を捨てて、その代わりに「小日本主義」への転換を唱えたことで知られる石橋湛山は戦後、首相の座を病のためわずか2か月で去らざるを得なかった「悲劇の宰相」ともいわれる。その湛山がいま、もし健在であれば、日本が選択すべき針路としてどういう構想を提示するだろうか。
 やはり21世紀版「小日本主義」を勧める構想以外には考えられない。敗戦直後の改正憲法案の9条(戦争放棄、軍備及び交戦権の否認)をみて「痛快きわまりない」と叫んだ湛山である。その湛山に学びながら、21世紀版「小日本主義」の構想について憲法の平和理念をさらに発展させ、具体化させる方向で考える。(08年5月16日掲載、同月17日インターネット新聞「日刊ベリタ」に転載)

 私(安原)は2008年5月14日、東京・千代田区一ツ橋、如水会館で開かれた水霜会(徳田吉男会長=一橋大学、神戸大学出身者の会)の例会で「21世紀版・小日本主義の勧め ― 今、石橋湛山に学ぶこと」と題して講演した。以下にその大要を紹介する。

 まず講演の3つの柱は以下の通り。
(Ⅰ)何が問題なのか? ―世界と日本を混乱と破壊に追い込むものは
(Ⅱ)どうしたらよいのか? ―湛山の小日本主義に学ぶ
(Ⅲ)どういう日本に変革できるのか? ―21世紀版小日本主義を実践して

(Ⅰ)何が問題なのか?―世界と日本を混乱と破壊に追い込むものは
 その要旨は以下の通り。

▽ 世界最大のテロリスト集団は誰か ― もう一つの「9.11テロ」

アメリカはテロとの戦いを名目に今なおアフガン、イラクで戦争・占領を続けている。イラクでは日本も事実上参戦している。しかし世界最大のテロリスト集団は一体誰なのか。この真相を認識することが先決である。

*チリのアジェンデ政権を銃で転覆
 まず2001年米国を襲った「9.11テロ」とは別のもう一つの「9.11テロ」をご存じだろうか。
 1973年9月11日、南米チリのアジェンデ政権(当時、民主主義と社会主義を標榜し、民主的選挙で選ばれた)が銃によって転覆された。首謀者はピノチェト将軍で、それを支援したのがアメリカの外交政策とCIA(中央情報局)であった。これがもう一つの「9.11テロ」といわれる。

*米軍によるソンミ村の大虐殺
 私(安原)はベトナム解放30周年記念の年、2005年4月、作家の早乙女勝元氏を団長とするベトナム・ツアーに参加し、米軍のベトナム侵略による被害の実態をみた。
 ベトナム人の犠牲者は300万人にのぼる。しかも米軍が空から撒いた枯れ葉剤の後遺症で今なお苦しみにあえいでいる人も沢山いる。

 米軍の大虐殺として知られるベトナム中部のソンミ村を訪ねた。村人たちがまだ眠っている早朝、武装ヘリで襲い、504人が虐殺され、わずか8人だけが生き残った。米兵たちは村人1 人を殺害する度に、「一点」、「もう一点」と叫んだという。殺人ゲームそのものである。

 第二次大戦後、米軍の直接の軍事力行使あるいはアメリカ製兵器による犠牲者は世界で数千万人に上るという指摘もある。
 こうみると、アメリカ国家権力とその背後に存在する軍産複合体(軍部と兵器メーカーなどとの複合体)こそ世界最大のテロリスト集団といっても差し支えないだろう。
 アメリカの著名な言語学者、ノーム・チョムスキー教授はその著作『覇権か、生存か』(集英社新書)で「ホワイトハウスは世界残虐大賞に値する」と指摘している。

▽日米安保体制の負の効果 ― アメリカと無理心中の懸念も

 日米安保体制(=日米同盟)について正確な認識を共有することが不可欠と考える。多くのメディアでは日米同盟を肯定する傾向があるが、私はむしろその負の効果、いいかえれば危険な特質に着目する必要があると考える。
 日米安保体制(=日米同盟)は軍事同盟と経済同盟からなっている。

*日米軍事同盟に執着し、孤立へ
 まず日米軍事同盟について考える。その法的根拠である日米安保条約の第3条は日本の「自衛力の維持発展」を明確にうたい、ここから特に憲法9条2項(軍備及び交戦権の否認)の骨抜きが始まった。第5条(共同防衛)、第6条(基地許与)によって沖縄を中心に日本列島上に米軍基地網が張りめぐらされ、日本列島は米軍の出撃基地と化している。
 しかも1990年代後半から「世界の中の安保」に変質し、世界中至る所に米軍が出撃し、それを自衛隊が補完する体制が出来上がっている。その典型例が自衛隊のイラク派兵で、名古屋高裁判決(08年4月17日判決、その後確定)は9条違反と断じた。
 しかしこのような日米一体化での軍事力行使がかえってアフガンやイラクで混乱と破壊をもたらしている現状からみれば、軍事力はもはや無力となっている。にもかかわらず日米軍事同盟と軍事力行使に執着し、そのため世界の中で孤立を深める結果となっている

 日米経済同盟もまた危険な選択といえる。日米安保条約第2条(経済協力の促進)に「日米両国は、国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また両国の間の経済的協力を促進する」と定めている。これは具体的に何を意味するのか。一つは米国を源流とする新自由主義(=市場原理主義)の日本への導入で、それは弱肉強食の自由競争の激化、貧富など格差の拡大、後期高齢者の医療費負担増など税・保険料負担の増大を招いている。
それに食料・エネルギー危機さらにサブプライム・ローン(低信用者向け高金利住宅ローン)の破綻が重なって、新自由主義路線も危機に陥っている。これが世界や日本を混乱と破壊に追い込んでいる。

*泥船の運命共同体からどう脱出するか
もう一つ、指摘すべきことはドル暴落が日本に及ぼす打撃である。
 見逃せないのは、日本は米ドルの日本銀行による大量買い支えによってドル崩落の防止に一役買っており、さらにドルの買い支えなどによって増えた外貨準備(ドルが中心で、08年初頭現在で約1兆ドル=100兆円超)は米国債(ドル建て財務省証券)の大量購入によって運用され、米財政赤字の穴埋めをしている。
 大量の米国債購入は、アメリカのイラク攻撃に要する巨額の戦費調達を間接的に支援しているが、一方では近未来にも不可避とされるドル暴落によって10兆円単位の巨額の為替差損をこうむる可能性がある。

 こうみると、日米は軍事、経済両面で、いわば泥船に乗った「運命共同体」であり、このままでは無理心中となりかねない懸念が強い。ここからどう脱出するか。アメリカを支えてきた敗戦国、日独の2大国のうちドイツはイラク戦争に「ノー」を突きつけ、すでに脱出したことを想起したい。

(Ⅱ)どうしたらよいのか? ―湛山の小日本主義に学ぶ

 ジャーナリストの大先達、石橋湛山(1884~1973年、元首相、日蓮宗の信徒)は首相就任祝賀会でつぎのように述べた。「私は自分で総理になろうという考えはない。ただ日本を立派な国にしたいという一念に燃えている」と。今どきの政治家と違って立派である。ただわずか2か月(1956年12月から翌年2月まで)で病のため首相の座を去った。

 軍事力行使を中心とする大国主義が打開力を失っている今こそ、湛山が唱えた小日本主義に学ぶ必要がある。小日本主義の特質はつぎの5本柱からなっている。 
*植民地、領土拡大をめざす大日本主義のアンチ・テーゼ 
大正10年(1921年)頃から「大日本主義は幻想」であるとして、政治的、経済的、軍事的に意味がないという理由から当時の朝鮮、台湾、満州(現在の中国東北部)、樺太(現在のサハリン島の南半分)などの植民地を捨てよ!と説いた。

*軍備拡張は亡国への道
 「わが国の独立と安全を守るために軍備拡張という国力を消耗するような考えでは、国防を全うできないだけでなく、国を滅ぼす。軍備拡張という考えを持つ政治家に政治を託するわけにはいかない」と1968年に論じた。

*9条は世界に先駆けた理念として高く評価
新憲法改定案が公表されたとき、9条(戦争放棄、軍備及び交戦権の否認)をみて、「世界にいまだ全く類例のない条規である。独立国たるいかなる国もかつて夢想したこともない大胆至極の決定だ。痛快きわまりない」と『東洋経済新報』誌(1946年)で評した。

* 平和憲法と日米安保条約は両立不可能で、憲法理念を優先
 「日米安保条約と憲法は明らかに矛盾している。(中略)日本政府の取るべき態度はきわめて簡単明瞭に自国の憲法に立脚すればよい。これは当然である」と1960年8月の朝日新聞で論評した。

* 世界とアジアの平和のために「日中米ソ平和同盟」締結を提唱
 「今日の日米安保条約は日米間だけのものだが、これを中国、ソ連にまで広げ、相互安全保障になしうれば、ここに初めて日本も安心できるし、米国、中国、ソ連とも仲良くしてゆける」と論じた。
 湛山の打診に対し、当時のフルシチョフ・ソ連首相は「原則的には全面的に賛成」と回答、周恩来中国総理は、「私も以前から同じようなことを考えていた。中国はよいとしても、米国が問題でしょう」と答えたいきさつがある。(『石橋湛山全集』第十四巻・参照)

(Ⅲ)どういう日本に変革できるのか?― 21世紀版小日本主義を実践して

 海外版小国主義=コスタリカ・モデル(軍隊の廃止、自然環境の保全、平和・人権教育)に着目するときである。コスタリカは世界でもユニークな「1949年現行憲法」で軍隊を廃止し、今日に至っている。しかも1983年「中立宣言」を行った。その柱は非武装中立、永世中立、積極中立の3つである。このうち積極中立とは、決して一国平和主義に閉じこもらないで、紛争の絶えない近隣諸国に積極的な平和外交を展開することを指しており、事実その成果として自国の平和確立、戦争拒否を貫いてきた。

 21世紀版小日本主義を構想する以上、大国主義路線(新自由主義=市場原理主義の強行、さらに憲法9条改悪による軍事国家化の推進)からの構造転換が不可欠である。その柱として以下の3つを構想する。
*「持続可能な発展」を日本がめざすべき外交、政治、経済上の新しい戦略目標として導入すること
*日米安保体制(日米軍事・経済同盟)の解体と「東アジア平和同盟」の構築を図ること
*自衛隊を全面改組し、戦力なき「地球救援隊」(仮称)を創設すること 

▽「持続可能な発展」を憲法に追加条項として盛り込む

 「持続可能な発展」(=持続的発展 Sustainable Development)を憲法に追加条項として盛り込むのは、憲法の平和理念をさらに強化するためである。
 ここでの「平和理念」とはどのような意味合いなのか。平和とは、広い意味の「非暴力」、「反暴力」のことである。戦争、紛争、テロ、殺戮がない状態は平和にとって基本的に重要だが、それだけを指しているのではない。人間性や生の営みの否定ないしは破壊、例えば自殺、交通事故死、凶悪犯罪、人権侵害、不平等、差別、失業、貧困、病気、飢餓―などが存在する限り平和とは縁遠い。さらに貪欲な経済成長による地球上の資源エネルギーの収奪、浪費とそれに伴う地球環境の汚染、破壊が続く限り、平和な世界とはいえない。 いいかえれば以上のような多様な暴力を追放しない限り、平和の実現は夢物語に終わることを強調したい。

 このような多様な暴力を否定し、つまり地球上の生きとし生けるもののいのちを等しく尊重し、真実の平和を確保するためのキーワードが持続的発展である。従って平和憲法が真の意味で平和の確保をめざすのであれば、憲法の中に「持続的発展」という文言を追加条項として織り込むことが必要である。

 具体的試案は以下の9条と25条の2つである。
 ●9条(戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認)に関する追加条項
 「日本国民は、世界の平和と持続的発展のために、世界の核を含む大量破壊兵器の廃絶と世界の通常軍事力の顕著な削減に向けて努力する責務を有する」を新たに追加する。

 戦争、軍備と対立する概念である持続的発展を新たにうたうことによって「戦争放棄、軍備・交戦権の否認」という先駆的な理念の強化を図り、日本国民の国際貢献のあり方として核兵器の全面的廃絶と顕著な軍備縮小に取り組む姿勢を明示する。

 次の点を補足しておきたい。
 一つは湛山が現行憲法9条と日米安保体制(=日米軍事同盟)とは矛盾するという観点から、9条を生かすことを優先させるべきだと説いたことである。湛山の9条尊重論が小日本主義と結びついていることはいうまでもない。9条に持続的発展を新たに盛り込むことは湛山の小日本主義の今日的発展を意味する。

 もう一つ、9条の世界的意義は世界のさまざまな人びとによって高く評価されていることである。日本人の多くが考えている以上に9条堅持とその理念の積極的活用に対する海外の期待は大きい。
最近の事例としては「9条を世界に広めよう」を合い言葉とする「9条世界会議」が08年5月4~6日開催された。主会場の千葉・幕張メッセには海外からも含めて約2万人、このほか広島、大阪、仙台で計1万人、総勢3万人超が集まり、「9条世界宣言」を世界に向けて発信した。

 ●25条(生存権、国の生存権保障義務)に関する追加条項
 「すべての国民、企業、各種団体及び国は生産、流通、消費及び廃棄のすべての経済及び生活の分野において、地球の自然環境と共生できる範囲内で持続的発展に努める責務を有する」を新たに追加する。

 この追加条項は従来の経済成長路線(=大量生産・消費・廃棄→地球環境の汚染・破壊→生命共同体の崩壊)、さらに拝金主義という名の「貪欲(=暴力)路線」との決別を明確にし、新たな「持続的な経済」を志向する。これは同時に脱・成長経済、脱・石油浪費社会、すなわち簡素な経済を意味しており、地球環境の保全、資源エネルギーの節約などの「知足(足るを知ること=非暴力)路線」をめざす。

 この脱・石油浪費社会、脱・成長経済は、「持続的な経済」(=簡素な経済)の2本柱であり、従来の経済構造を根本から変革することをめざすものである。
 誤解が予想されるので、若干補足すると、持続的な経済、すなわち脱・成長経済は決して貧困への道ではない。逆にむしろ従来型の成長経済こそが量的過剰のなかの質的貧困を意味している。
 なぜならGDP(国内総生産)で計る成長経済はモノやサービスの量的拡大(廃棄物、ごみの大量生産などを含む)を意味するだけで、そこに質的豊かさ(いのちの尊重、自然の豊かさ、ゆとり、安らぎ、人と人との絆、人間としての誇りなど)は一切含まれないからである。持続的経済は経済成長率を高めることは追求しないが、質的豊かさの実現を重視する。

 9条が追加条項も含めて安全保障、外交上の平和(=非暴力)を志向するのに対し、25条の追加条項は経済社会の平和(=非暴力)の構築を意図している。

 以上2つの追加条項は、憲法前文にすでに明記されている平和的生存権(注)と一体となって、持続的発展を軸に据える「平和環境立国・日本」としての戦略目標を世界に向けて宣言するものである。この新しい憲法理念は、21世紀版小日本主義の大枠であり、その土台となる。
(注)憲法前文は平和的生存権として「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とうたっている。恐怖とは戦争であり、欠乏とは貧困であり、このような暴力から免かれることが平和を意味する。イラク派兵を憲法9条違反としたあの名古屋高裁判決は、この平和的生存権について「すべての基本的人権の基礎にあって、その享受を可能にする基底的権利」と認めた。

▽ 日米安保体制(=軍事・経済同盟)の解体、「東アジア平和同盟」の構築

 憲法9条の平和理念は日米安保体制(=日米軍事同盟)の戦争志向とは根本的に矛盾・対立している。したがって9条を守り、その理念を取り戻すためには日米安保体制を解体することが前提となる。
 念のためつけ加えれば、日米安保条約10条(条約の終了)は「いずれの締約国も、条約終了の意思を通告することができ、その通告の1年後に条約は終了する」と定めている。つまり国民の意思で日米安保を解体することができる。

 しかもアジアと世界の平和を確かなものに創るためには「東アジア平和同盟」の結成が不可欠である。これは湛山の「日中米ソ平和同盟」構想の21世紀応用編である。
 東アジア平和同盟のメンバーは日本、中国、韓国、北朝鮮=朝鮮民主主義人民共和国、東南アジア諸国連合(ASEAN=加盟国はタイ、マレーシア、フィリッピン、インドネシア、シンガポールなど)などが考えられる。これは「東アジア共同体」構想(04年11月、ASEANプラス日中韓の首脳会談で確認)を土台とするもので、湛山の「日中米ソ平和同盟」のメンバーと同一ではない。

 日米安保の解体と東アジア平和同盟の結成はなにをもたらすか。
・東アジアからの米軍基地撤退と東アジア非核化を可能にする
・長期的にはコスタリカ方式の「非武装・積極中立」を視野に置く。
・日米軍事同盟の仮想敵は目下のところ、北朝鮮だから、南北朝鮮の統一ができれば、日米軍事同盟の存在意味がなくなる。

▽ 自衛隊の全面改組、戦力なき「地球救援隊」(仮称)の創設  

 慶応大学で04年12月、「仏教経済学と地球環境時代」というテーマで講義をしたとき、「地球救援隊」の構想を提案したら、ある女子学生は「私も同じことを考えていた」と感想文に書いた。

 なぜ非武装の地球救援隊なのか。
 第一は今日の地球環境時代における脅威は多様である。脅威をいのち、自然、日常の暮らしへの脅威と捉えれば、主要な脅威は、地球生命共同体に対する汚染・破壊、つまり非軍事的脅威である。非軍事的脅威は地球温暖化、異常気象、大災害、疾病、貧困、社会的不公正など多様で、これら非軍事的脅威は戦闘機やミサイルによっては対応できないことは改めて指摘するまでもない。
 第二は世界の軍事費は総計年間1兆ドル(約100兆円)を超える巨額に上っており、限られた財政資金の配分としては浪費の典型である。この軍事費のかなりの部分を非軍事的脅威への対策費として平和活用すれば、大きな効果が期待できる。にもかかわらず巨額の軍事費を支出し続けることは、軍事力の保有による軍事的脅威を助長するだけでなく、むしろ戦争ビジネスに利益確保の機会を与える効果しかない。

 以上から今日の地球環境時代には軍事力はもはや有効ではない。そこから登場してくるのが戦力なき地球救援隊構想である。その概要は次の諸点からなっている。
・地球のいのち・自然を守るために平和憲法9条の理念(戦争の放棄と戦力の不保持)を生かす構想であること。
・地球救援隊の目的は非軍事的な脅威(大規模災害、感染症などの疾病、不衛生、貧困、劣悪な生活インフラなど)に対する人道的救助・支援をめざすこと。
・活動範囲は内外を問わず、地球規模であること。
・自衛隊の全面改組を前提とする構想だから、自衛隊の装備、予算、人員、訓練などの質の改革を進めること。
 兵器を廃止し、人道救助・支援に必要なヘリコプター、輸送航空機、輸送船、食料、医薬品などに切り替える。特に台風、地震、津波など大規模災害では陸路交通網が寸断されるため、空路による救助・支援が不可欠となる。それに備えて非武装の「人道ヘリコプター」(注)を大量保有する。
 防衛予算(現在年間約5兆円)、自衛隊員(現在定員は約25万人)を大幅に削減し、訓練は戦闘訓練ではなく、救助・支援の訓練とする。

 (注)ミャンマーを襲った超大型サイクロンと中国四川省の大地震
 08年5月2日夜から3日にかけてミャンマー中・南部を直撃した超大型サイクロンの被害は死者10万人説、食料不足数百万人、コメ産地壊滅によるコメ価格急騰(平年の2倍に) などと伝えられる。
 一方、5月12日発生した中国四川大地震では15日現在、被災者1000万人超、このほか死者5万人超、生き埋め、行方不明者合わせて10万人を超えた。
 2つの大災害ともに「道路寸断、救援届かず」と報じらたことからも分かるように空路救援のための多数の「人道ヘリ」が必要である。

 このような地球救援隊の創設は、軍隊を捨てたコスタリカ・モデル応用の日本版である。
武装組織である自衛隊の全面改組を前提とするこの構想が実を結ぶためにはアジア、中東における平和、すなわち非戦モデルの構築が不可欠であり、そのためには日米安保体制の解消、東アジア平和同盟の締結が前提となる。
 日本国憲法9条の平和理念に対する世界の期待が大きい折だけに、この構想の具体化は日本が世界の対立と恐怖を超えて、和解と共生を促す先導的役割を果たすことにもなるだろう。


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コメント
この記事へのコメント
ベトナム在住一年の日本人です。
興味深く読ませていただきました。
有難うございます。
2008/05/16(金) 16:27:33 | URL | HA-NAM #mQop/nM.[ 編集]
アメリカ衰亡の兆し
HA-NAM さん、コメントを頂戴しました。ベトナム在住の方と知って、一筆記します。

先日、朝日新聞(5月11日付)「世界の論調」に掲載された中東・レバノンの新聞「デイリー・スター」の社説を読んで驚きました。社説はつぎのように書いています。

米大統領選でヒラリー・クリントン上院議員は言い放った。イスラエルを核兵器で脅かすようなことがあれば、イランを「消滅させる」と。
米国とイランの間には幾多の政治課題があるが、消滅させるとはずいぶんな脅し方だ。これがクリントン氏の本心か選挙戦術かは知らない。だが米国は自分の力の使い方がまだわかっていないようだ。世界にはイランのように米国の脅しにひるまない小国や地域が増えている。
破れかぶれの政治家は、わずかな票欲しさに無謀な海外派兵の危険を冒す。それが米国の言う民主主義なら、受け入れられまい―と。

正当な主張です。この主張を読んで私は05年ベトナムを訪ねた際、現地で聴いたつぎのような話を思い出しました。
アメリカがベトナムを侵略したときに、こう言った。「ベトナムを石器時代に戻す」と。

あの大規模の北爆のねらいは、そこにあったのでしょう。
クリントン上院議員の今回の「消滅させる」発言も同種のものです。自由、人権、民主主義をなにかにつけ力説する米国の政治家の発言とはとても思えない内容です。
こういうアメリカだからこそ、ベトナムから敗退したわけですが、今日なおその教訓をなにひとつ学び取ってはいないようです。ほかならぬ自国が世界の中で孤立を深めつつあるという現実がみえてはいない。これでは軍事大国・アメリカの近未来の姿、つまり強がりのなかに衰亡への兆しがみえてきます。

2008/05/17(土) 13:39:41 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
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