「もっともっと欲しい」の貪欲の経済から、「足るを知る」知足の経済へ。さらにいのちを尊重する「持続の経済」へ。日本は幸せをとりもどすことができるでしょうか、考え、提言し、みなさんと語り合いたいと思います。(京都・龍安寺の石庭)
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兵器の価格・原価を公開しよう
防衛利権の巨悪一掃のために

安原和雄
東京地検特捜部は07年11月28日、前防衛事務次官の守屋武昌容疑者(63)と妻の幸子容疑者を収賄容疑で逮捕した。これを機に防衛利権をめぐる巨悪にどこまで検察のメスが入るかが注目されるが、巨悪を一掃するためには、この際兵器など装備品の調達価格とその原価を公開するシステムをつくることを求めたい。これによって防衛利権が肥大化していくのを防ぐ有力な歯止めができるのではないかと考える。(07年11月29日掲載、同日インターネット新聞「日刊ベリタ」に転載)

▽守屋前防衛次官の逮捕、今後は潜む「巨悪」の追及を

守屋前防衛次官の逮捕をめぐって大手メディアの社説(11月29日付)はどう論じたか。まず見出しを紹介しよう。
読売新聞=守屋前次官逮捕 頻繁なゴルフ接待は「賄賂」だった
朝日新聞=前次官逮捕 防衛汚職の底知れぬ闇
毎日新聞=前次官逮捕 防衛腐敗のウミを洗い出せ
日本経済新聞=収賄容疑者はなぜ次官になれたのか
東京新聞=前次官逮捕 巨悪は潜んでいないか

 東京新聞社説は防衛利権の巨悪に視野を広げているので、その要旨を紹介しよう。

前事務次官の汚職事件は、防衛官僚のトップの堕落と腐敗ばかりか、でたらめな武器調達の実態をも露呈した。防衛利権には巨額マネーが動く。そこに巣くう巨悪を視野に入れた徹底捜査を望む。

防衛省の装備品調達のずさんさも看過できない。防衛商社「山田洋行」社長は「過去にかなりの水増し請求があった」と認めている。見積書などを改ざんする業者の手口は悪質極まりないが、言い値のまま購入する同省も批判されるべきである。これが業界の慣行なら、もはや“病根”と呼んでいい。

 要するに調達はメーカーとの間に介在する商社に任せきりになっているのが実態で、役所のチェックが効かない仕組みなのだ。元は税金だけに、国民も無関心ではいけない。政府は同省改革に取り組むが、調達システムに民間人を登用するなど、透明化への抜本的見直しに本腰を入れる必要があろう。
 何しろ装備品調達額は、年間約二兆円に達する規模である。日本は世界に冠たる“兵器輸入大国”でもある。「軍需」というカネを吸い上げる巨悪こそ、あぶり出したい。

 以上、東京新聞は「装備品調達システムの透明化への抜本的見直し」を求めているが、その具体策はない。
 朝日新聞も「機密の壁もあって、その実態は外から見えにくい。日本の安全保障に直結する装備品の調達が、業者との癒着によって、どのようにゆがめられていたのか。検察は長年の利権構造に切り込んでほしい」と書いているだけで、その具体策への言及はない。当面は検察当局への追及にお任せ、という姿勢である。

もちろん検察の利権構造へのメスの入れ方は大いに注目に値するが、「調達システムの透明化」のためには何が必要だろうか。ここでは「兵器など装備品の価格とその原価の公開」を求めたい。巨悪を封じ込めるための一つの決め手になると考える。
 これは以下に紹介する高校生の提案がヒントになっている。各紙社説の主張が高校生のアイデアに後れをとるようではジャーナリズムのあり方としていささか心許ないとはいえないか。

▽高校生の「戦争をなくすため」の提案がヒント

 第14回全国高校デザイン選手権大会(東北芸術工科大=山形市=主催)で、神戸市立科学技術高校チームが文部科学大臣賞(優勝)に選ばれた。「兵器に製造国や企業名、価格などを示すラベルをはり、兵器が本当に必要かどうかを考え直そう」という提案が評価された。その理由は「戦争に真正面から向き合った姿勢とアイデアのユニークさ」である。

 朝日新聞の記事(07年11月25日付、根岸拓朗記者)によると、大会には31都道府県から396チームが参加、一次審査をパスした12チームが東北芸工大で開かれた決勝戦に出場し、1チーム7分の持ち時間を使って公開の場で作品を説明した。
 優勝した科学技術高チームの顔ぶれは、2年生のジェップ・テウン・アンくん(ベトナム出身)と梶原千種(ちぐさ)さん、1年生の田中天(てん)さんの3人で、担当の新山浩教諭(43)と話し合い、「戦争をなくすには」というテーマを選んだ。高校生が考えたことは以下のようである。

 最近、産地や消費期限など食の安全が問題になっているが、考えてみると、兵器の情報は何も知らされていないことに気づいた。これが出発点となって、食品では当たり前の表示ラベルを兵器にもつけたら、というアイデアに脹らんでいった。

 つぎのようなアイデアも光っている。朝日の記事はこう続いている。

 ラベルには、兵器を買う金額で水や食料、薬品などをどれだけ買えるかも表示した。例えば戦闘機の誘導爆弾1発は3400万円で、HIVの治療薬なら2800人分、原子力潜水艦1隻は3000億円でビスケット15億箱が買える。
 「兵器がいかに無駄かをイメージしてもらうため」とジェップくんは語っている。また田中さんは「なぜこんなに高いお金を使って、殺し合いをしてしまうのかと思うけど、兵器をつくってご飯を食べている人もいる。いろいろ考えて、すごくいい経験になった」、梶原さんは「世界のことを知っておかなきゃと改めておもった」と笑顔で話した。

 決勝では、発泡スチロールでつくった兵器のオブジェを背景に映像を交えて訴えた。
 「戦争や紛争とは悲しみについての話です。自分のつくり出すものにいっさい責任をとらない人、何についてもイメージすることを放棄してしまった人についての話です」と。

▽防衛利権のための血税浪費に、国民による監視の目を

 防衛省による「兵器その他の装備品」調達価格と原価の実態はどうなっているのか。防衛省作成の「平成19年版(2007年版)防衛白書」をのぞいてみよう。具体例は以下の通り。

*弾道ミサイル攻撃への対応
 07年度予算として1825億9900万円(新たな警戒監視レーダーの整備、BMD=弾道ミサイル防衛=用能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発等)を計上しているが、その詳細は不明
*90式戦車
 9両で総額71億4900万円。1両が約8億円
*戦闘機(F-2)
 8機で総額1055億5100万円。1機が約132億円
*潜水艦(SS)
 1隻が533億3200万円

 以上のように主要装備の契約価格はそれなりに読みとれる。しかしその原価がいくらなのかは一切不明である。だから企業側による水増し請求の実態も不明である。東京新聞が指摘しているように「元は税金だけに、国民も無関心ではいけない」のである。血税の浪費をほしいままにする日本版政軍産官複合体(国防族議員、防衛省、自衛隊、兵器メーカーなどの複合体)をどう監視するか、つまり税金の無駄な使われ方に批判と監視の目を光らせることが大きな課題となってきた。それを怠ると、その先に待っているのは大増税への道である。

 兵器などの価格、特に原価の全面公開には複合体の面々は「安全保障上の機密」、「そういう慣例はない」などと口実を設けて拒むだろう。しかし拒めば、それだけ防衛利権を擁護するための「安全保障」という実態が浮かび上がってくる。
 米国版軍産複合体の存在に重大な警告を発したアイゼンハウアー大統領のつぎの言葉を噛みしめたい。
 「われわれはこの複合体の勢力が米国の自由や民主主義的な政治過程を破綻させるような事態をもたらしてはならない。われわれは何事もやむを得ないこととして放置してはならない。敏感で、分別のある市民のみが(中略)安全と自由を守ることができるのである」と。


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この記事へのコメント
防衛利権の化粧直し
私(安原)は防衛利権の巨悪を一掃するための手段として兵器など装備品の調達価格とその原価を公開するシステムをつくることを提案した。

私は非武装の立場であり、将来展望としては非武装の日本をつくることを念願している。原価公開のシステムをつくっても、それが非武装に直結するわけではない。しかし防衛利権肥大化の歯止めとしての機能は果たすだろう。

さて現実にはどう動くだろうか。
毎日新聞(07年12月16日付)は「闘論」欄で「防衛装備の調達」というテーマを取り上げた。登場人物は石破 茂防衛相と軍事アナリストの小川和久氏である。

▽石破防衛相は次のように述べている。見出しは〈「省が直接」の仕組みを〉。

・発覚した山田洋行の(水増し請求)事件は許しがたい詐欺的行為だ。防衛省は被害者ではあるが、「高い」と見破る能力がなければならない。
・防衛省が直接調達する仕組みを考える必要がある。1、2か月でバタバタ議論するのではなく、国益を考えながら、1、2年かけ方向性を打ち出したい。
・これまで防衛族議員と業者の癒着も指摘されてきた。国会議員が「この戦闘機が必要」と発言する場合、特定の会社からの利益提供を得てのものか、わが国の安全保障上の発言か。違いは自分の立場を明らかにしたオープンな場での議論かどうかだ。

▽小川和久氏はこう指摘している。見出しは〈不正見抜く組織必要〉。

・不正をチェックする集団を大規模でなくとも早急に編成することが必要だ。同時に、マラソンの伴走者のように民間または半官半民の専門家集団に、防衛省のチェック組織がきちんと機能しているかも確認させる。これが第一歩だ。
・防衛省・自衛隊は若年の退職者から上層部まで防衛産業への天下りを期待し、産業側はバーターとして受注する、なれ合いの構図がある。
・日米同盟も影を落とす。日本の防衛装備品の研究開発・調達は、安全保障の観点から何が必要かよりも、日米経済摩擦の人身御供(ひとみごくう)とされてきた過去もある。

以上、両氏に共通している認識は、「安全保障の観点」である。しかも石破防衛相は「国益」にも言及し、小川氏は「日米同盟」を視野に入れている。いずれも聖域視され、深部への批判を許さぬ分野である。そこに両氏の意見、提案の限界を感じる。その提案が実施されたとしても、防衛利権の実態は化粧直しの後、存続し、消えることはないだろう。
2007/12/18(火) 12:00:59 | URL | 安原和雄 #-[ 編集]
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