「もっともっと欲しい」の貪欲の経済から、「足るを知る」知足の経済へ。さらにいのちを尊重する「持続の経済」へ。日本は幸せをとりもどすことができるでしょうか、考え、提言し、みなさんと語り合いたいと思います。(京都・龍安寺の石庭)
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続発する沖縄での米兵女性暴行
日米安保と米軍基地がある限り

安原和雄
またもや沖縄で米兵による女性暴行事件が起こった。沖縄はいうまでもなく、本土でも多くの人が怒っている。こういう悲劇の続発を防ぐためには何が必要か。事件の背景に広大な米軍基地が存在し、それを容認する日米安保体制が存続する限り、悲劇は絶えないだろう。だから日米安保と米軍基地そのものを廃絶すること以外に続発防止の決め手はあり得ない。
 新聞社説はこの事件をどう論じているか。残念ながら足並みが揃っているわけではない。事件発生を批判する点では一致しても、その背景にある日米安保、米軍基地そのものを批判する姿勢は乱れているのが現状である。(2012年10月19日掲載。公共空間「ちきゅう座」、インターネット新聞「日刊ベリタ」に転載)

 沖縄での米兵女性暴行について本土の大手紙と沖縄地元の琉球新報は社説でどのように主張したか。本土の主要紙と琉球新報の見出しは次の通り。次いで社説(大要)を紹介し、私(安原)のコメントを試みる。

*東京新聞(10月18日付)=米兵女性暴行 沖縄に基地がある限り
*毎日新聞(同上)=相次ぐ米兵事件 米政府は深刻さ自覚を
*朝日新聞(同上)=米兵の犯罪 沖縄の怒りに向きあう
*読売新聞(10月19日付)=沖縄米兵事件 再発防止へ実効性ある対策を
*琉球新報(10月18日付)=米兵集団女性暴行/卑劣極まりない蛮行 安保を根本から見直せ

(1)東京新聞社説(大要)
 沖縄県知事は、官房副長官を首相官邸に訪ね、「(在沖縄米軍基地は)安全保障上必要だから理解してくれと言われても、こういう事件が起きると無理な話だ」と強く抗議した。
 知事に代表される県民の怒りは当然だ。日米両政府に加え、日本国民全体が重く受け止め、自分の痛みとして感じる必要がある。
 米軍基地は周辺地域の住民にさまざまな負担を強いる。平穏な生活を脅かす日々の騒音や事故の危険性、米国の戦争に加担する心理的圧迫、それに加えて、今回のような米兵の事件、事故などだ。

 日米安全保障条約で、日本の安全と、極東の平和と安全を維持するために日本に駐留する米軍が、日本国民の生命を脅かす存在にもなり得ることは否定しがたい。
 在日米軍基地の約74%は沖縄県に集中する。米軍の世界戦略に加え、本土では基地縮小を求める一方、沖縄での過重な基地負担を放置することで平和を享受してきたわれわれ本土側の責任でもある。

<コメント> 日米安保は生命を脅かす存在に
今回の暴行事件に関連して、後述するように朝日、読売社説には日米安保への言及は見られない。毎日社説はわずかに「日米安保体制そのものをむしばむ」と表現している。これに比べると、東京社説は明快である。「日米安全保障条約で、日本の安全と、極東の平和と安全を維持するために日本に駐留する米軍が、日本国民の生命を脅かす存在にもなり得る」とまで言い切っている。沖縄を論じる場合、安保に言及しない社説はもはや読むに値しないというべきだろう。

(2)毎日新聞社説(大要)
 沖縄県知事は17日、防衛相に「正気の沙汰ではない。綱紀粛正という生やさしい言葉でなく、もっと厳しい対応を強く米側に申し入れてほしい」と求めた。
 仲井真知事は防衛相に「日米地位協定を改定しない限り、彼らは基本的に日本の法律は守らなくていいことになっている」と改定を求めた。

 沖縄では、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備強行や、米軍普天間飛行場の移設難航で、日米両政府や米軍への不満が高まっている。背景には、沖縄に米軍基地が集中することによる過重な負担がある。
ルース駐日米大使は事件について「米政府は極めて強い懸念を持っている」と述べたが、相次ぐ事件は、米軍への信頼を失わせ、日米安保体制そのものをむしばむ。米政府と米軍は事態の深刻さを自覚すべきだ。

<コメント>沖縄県知事「正気の沙汰ではない」
 知事の「正気の沙汰ではない」という抗議の声は穏やかではない。これは「怒り」そのものである。怒りの行き着く先は何か。「沖縄に米軍基地が集中することによる過重な負担」をどう改善するかである。それは「日米安保」への不信の表明でもあり、ゆくゆくは安保破棄まで進まなければ、収まらないだろう。毎日社説末尾の「日米安保体制そのものをむしばむ」という懸念にいつまでもしがみついている時だろうか。

(3)朝日新聞社説(大要)
 沖縄では、1995年に米海兵隊員3人による少女暴行事件がおき、県民の怒りが燃え上がった。だがその後も、米兵による犯罪はなくならない。性犯罪に限っても、この10年余りで中学生への強姦や強制わいせつ、ほかにも強姦致傷、今年8月にも強制わいせつ致傷の事件がおきた。被害者が泣き寝入りし、表に出ない事件もあるとみられている。
 沖縄には、安全への心配がぬぐえぬ新型輸送機オスプレイが配備されたばかりだ。不信が募っているときの、この卑劣な事件である。

 日本と米国の協調は大切だ。そのことを多くの人が感じている。だが、今回の事件が火種となって、再び沖縄で反基地の思いが爆発することは十分に考えられる。日米両政府は真剣に対策を講じる必要がある。
 沖縄で米兵による事件が多いのは、国土の面積の0.6%にすぎないこの島に、在日米軍基地面積の約74%が集中している現実が根底にある。沖縄の負担をどう分かつか。沖縄の外に住む一人ひとりが考えなくてはならない。

<コメント>「日米の協調は大切」が本音
 朝日社説も「沖縄では、米軍による犯罪はなくならない」などと米軍基地への批判的な姿勢を見せてはいる。しかし一番主張したい本音は「日本と米国の協調は大切だ」ではないか。だからこそ「今回の事件が火種となって、再び沖縄で反基地の思いが爆発することは・・・日米両政府は真剣に対策を講じる必要」につながる。朝日社説の主眼は日米安保是認論、いやむしろ賛美論ともいえる。

(4)読売新聞社説(大要)
 8月には、那覇市で在沖縄米兵による強制わいせつ事件が発生したばかりだ。こうした不祥事が繰り返されるようでは、日本の安全保障に欠かせない米軍の沖縄駐留が不安定になろう。今回の事件は、米軍の新型輸送機MV22オスプレイが沖縄に配備された直後だったため、県民の反発が一段と高まっている。

 ただ、暴行事件への対応とオスプレイの安全確保は基本的に別問題であり、それぞれ解決策を追求するのが筋だろう。
 仲井真知事は日米地位協定の改定を改めて主張している。だが、今回の事件捜査では、起訴前の米兵引き渡しなどを制限する地位協定が障害とはなっていない。
 日米両政府は従来、地位協定の運用の改善を重ね、具体的問題を解決してきた。それが最も現実的な選択であり、同盟関係をより強靱(きょうじん)にすることにもつながろう。

<コメント>「自立国・ニッポン」はどこへ
 読売社説の主眼は日米同盟関係を「より強靱に」することにある。「不祥事が繰り返されるようでは、日本の安全保障に欠かせない米軍の沖縄駐留が不安定に」という指摘がそれを示している。「日本の安全保障は米軍の沖縄駐留」にかかっているという認識であるから、ここまでくれば「日米安保依存症」も極まった、というほかない。「自立国・ニッポン」への意欲も視野もどこかへ投げ捨てたのか。

(5)琉球新報社説(大要)
 米軍は事件のたびに綱紀粛正や兵員教育による再発防止を約束するが、何が変わったというのか。現状は基地閉鎖なくして米兵犯罪の根絶は不可能だと、米軍自らが自白しているようなものだ。
 女性は安心して道を歩けない。米兵は沖縄を無法地帯と考えているのか ―。県婦人連合会の平良菊会長はこんな疑問を抱きつつ「危険なオスプレイが縦横無尽に飛んで、危険な米兵が地上にうようよしているのが今の沖縄か。人権蹂躙(じゅうりん)も甚だしい」と述べた。同感だ。
 ことし8月にも那覇市で女性への強制わいせつ致傷容疑で米海兵隊員が逮捕された。復帰後の米軍関係の刑法犯は5747件(2011年12月末現在)に上る。米国はこうした現状を恥じるべきだ。
 在日米軍には日米安保条約に基づき「日本防衛」の役割がある。しかし県民には苦痛をもたらす暴力組織としての存在感が大きい。

 日米安保体制を容認する保守系首長も、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを強行配備した日米両政府に抗議し、万が一墜落事故が起きた場合には「全基地閉鎖」要求が強まると警告する。
 
<コメント> 日米安保と米軍基地への批判
琉球新報社説は沖縄の地元紙にふさわしく日米安保体制と米軍基地そのものへの疑問と批判が尽きない。「基地閉鎖なくして米兵犯罪の根絶は不可能」、「在日米軍は日米安保条約に基づき・・・、県民には苦痛をもたらす暴力組織」、「女性は安心して道を歩けない。米兵は沖縄を無法地帯と考えているのか」などの指摘にそれをうかがうことができる。日米安保なき日本再生は沖縄から始まる。すでに始まりつつあると認識したい。


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「日中韓の共同体」構想を提言
毎日新聞「記者の目」に想うこと

安原和雄
毎日新聞の「記者の目」に人目を引く主張が掲載された。国境を越える共同体、欧州連合(EU)に学んでアジアの日本、中国、韓国の3カ国も共同体作りに乗り出せ、という提言である。
提唱者の記者自身、「日中韓共同体は夢物語と思うだろう」と指摘している。たしかにこれまで日中韓共同体構想は論議されることはなかった。しかし歴史は自然現象ではない。新たに創造していくものでもある。共同体構想が実を結べば、争乱の絶えないアジアで平和を可能にするに違いない。それは日本国憲法本来の平和理念をアジアで根付かせることにもつながるだろう。(2012年10月12日掲載。インターネット新聞「日刊ベリタ」、公共空間「ちきゅう座」に転載)

 毎日新聞(10月3日付)「記者の目」が「欧州から見た領土問題 日中韓は共同体作り目指せ」という見出しで論じている。筆者はブリュッセル支局の斎藤義彦記者で、なかなかユニークな主張なので、紹介したい。その要点は以下の通り。

(1)日中韓は共同体作り目指せ
 遠く欧州連合(EU)の本拠地ブリュッセルから見ると、日中韓の対立は歯がゆく思える。EUは互いに殺し合ってきた歴史を越え、債務危機を機に統合を深めている。100年かかってもいい。日中韓は共同体をめざすべきだ。それ以外、安定し繁栄した東アジアの将来はない。

 安直にEUモデルを輸入できるとも思わない。EUも冷戦時は体制の壁は乗り越えられなかった。しかしEUの平和と安定が示すのは、日中韓の国境の垣根を低くし、連携を強め、人の交流を進め、共同体を作ることこそが東アジアに平和と安定をもたらすという可能性だ。

 日中韓共同体は夢物語と思うだろう。しかしそれを語るのは私だけではない。日本をよく知るEU高官は、日中の対立が欧州共同体(EC)が発足して間もない1970年代の地域対立に「似ている」と話す。
 その後、統合を深め「緊張を管理するメカニズムを見つけざるを得なかった」EUの歴史をあげ、日中韓にも「利害対立を調整できる外交的な構造が不可欠だ」と指摘した。EUをよく知る日本政府関係者も「EUが対立を和らげた歴史に学ばざるを得ない」と認めた。

(2)日中韓共同体は反米ではない
 誤解してほしくないのは、日中韓共同体は反米ではない点だ。EUに反米の国など存在しない。むしろ不要とも言われる北大西洋条約機構(NATO)を維持し、欧米の結束を守っている。

 一方、日米同盟は魔法のつえではない。パネッタ米国防長官が9月に訪中した際、尖閣問題で自制を呼びかけるだけに終始したのを見てわかる通り、米国は暴力から日本を守ってはくれるが、日中韓の将来まで決めてはくれない。

 やがて中国も成長が鈍化し、非民主的な体制への市民の不満は高まる。その爆発を私は恐れる。韓国は北朝鮮という重い荷物を抱える。

 日本では総選挙が近づき、対中・対韓強硬派が勢いを増している。だが強硬派に長期展望はあるのか。対処療法ではなく、100年先の日中韓の平和と安定を語る政治家に私なら投票する。

<安原の感想> 平和憲法の理念をどう持続させるかが鍵
 日中韓共同体というこれまで論じられたことのない構想をどう評価するか。「実現までに100年かかってもいい」という未来構想だから、いささかの戸惑いを覚えるが、未来構想だからこそ逆に自由な感想も許されるだろう。

*平和憲法か日米安保か
 私の関心事からいえば、平和憲法、あるいは日米安保がどうかかわってくるのかが焦点となるほかない。長期展望として平和憲法の理念をどう持続させるかが鍵である。一方、日米安保の持続性は歓迎できない。言い換えれば日米安保を解消する共同体でなければならない。この視点を忘却した日中韓共同体構想は、歓迎できる代物(しろもの)とは言えないだろう。

 現状認識をいえば、戦後体制の二つの顔、すなわち日米安保と平和憲法のうち、日米安保の乱暴な振る舞いが巨大化し、一方の平和憲法の存在感は根強いものがあるとしても、現状は満足できるものではない。その背景には民主党の政権誕生とその後の変質、右傾化があり、それを煽るかのような大阪市の橋下一派、「日本維新の会」の台頭がある。自民党など保守勢力も右傾化に悪乗りするのに忙しいという印象がある。

*注目点は次の総選挙
 こういう右傾化の動きに対して、批判的な左派には日本共産党、社民党など、それに新政党として最近発足した「緑の党」が加わっている。しかし目下のところ、右傾化の流れが強く、左派からの批判の声は、残念ながら遠吠えの感さえ否めない。

 問題はこの政治勢力地図が今後どのような展開を辿ることになるのかである。当面の着目点は次の総選挙ではないか。総選挙でこの左右の政治地図を多少なりとも塗り替えることができないようでは「暗い時代」が続くという予感がある。平和憲法の理念は吹っ飛んでしまいかねない時代の始まりとなるかも知れない。それを歓迎するのは、多くの廃墟と無数の犠牲者を産み出す対外戦争を好む米国の例の軍産複合体(これには日本版軍産複合体も一枚噛んでいる)である。

*歴史的大勝負へ
 こうみると、次の総選挙は図式的にいえば、「左派勢力」対「右派勢力プラス軍産複合体」の歴史的大勝負になるだろう。左派が脱原発勢力のほか、「ウオール街の反乱」にみる99%の日本版「市民、民衆」とどれほど握手できるかも重要な要素である。これには日本の命運と未来がかかっている。

 以上のような視点を考慮しないまま、未来の日中韓共同体構想を論じても、それは単なる頭脳遊技に終わる懸念がある。


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